『リア王』 感想
- 『リア王』
- 著者:ウィリアム・シェイクスピア
- 訳者:小田島雄志
- 出版:白水社(シェイクスピア文庫)
あらすじ
アーサー王以前のブリテン。 隠居を決意した老王リアは三人の娘に自分への愛を誓わせるが、 末娘コーディリアは口先だけの甘言を拒否したため、 老いて頑迷になったリアの機嫌を損ね、勘当されてしまう。
ところが遺産と権力を手にした姉達は、リアの隠居後に態度を一変させ、リアを冷たく扱いはじめる。 自分の娘達に裏切られたリアは荒野をさまよい、少しずつ精神を病みながらも自己の過ちに気づいていく。 そして雷雨の中、リアはついにコーディリアと再開するが……
気になったところ
評論はすでに世に腐るほどあるんで、個人的に凄ぇと思った点だけ。
長女・次女に裏切られ、荒野をさまよったリアが小屋に潜んでいたエドガーと会話するシーンがすさまじすぎでした。
すでに狂いつつある老王。
グロスター伯爵の息子・エドガーは父親殺害未遂の濡れ衣を着せられているので、 追っ手の目から逃れるためにキ●ガイ乞食のふりをして正体を隠さねばならない。
そして、王の道化(日常的におかしな発言をするのを仕事とする者)が二人の会話にチャチャを入れる。。
つまり、リアルキ●ガイと偽キ●ガイと職業キ●ガイが会話するんだからさあ大変、な状況なわけで。
言わば〝読むドラッグ〟といっても過言ではないな、と舌を巻いたわけです。 ヤバイ。やばいシェイクスピアやばい。
あと、ちょっと面白かったのが道化の次のセリフ
(ひとしきり、散文詩めいた予言を語ったあとで) 「そうだ、こいつはアーサー王に仕える預言者マーリンに言わせるとしよう。 よござんすね、おれのほうがあいつよりも前の時代に生きているんですぜ。」
フィクションの中のジョークとはいえ、 1600年代に歴史時系列を超えるという概念が生まれているのは興味深い点なんじゃないか?と。 これがウェルズによる『タイムマシン』の発明につながっている(ウェルズもシェイクスピアも英国人)……などと言うとこじつけが過ぎますか?
備考
図書館から借りて読みました。2時間くらいで一気に読了。 古臭い韻を踏んだ言い回しが難しい部分もありますが、 基本的に演劇の脚本なので、会話中心でありサクサクと読めました。 読む前は重厚長大な物語じゃないかと勝手にビビっていたのですが、そんなこともなかったです。 むしろ感覚的にはライトノベルを読んでいるような感じ (もっとも僕が最後にライトノベルを読んだのは、 ライトノベルという言葉も生まれていない10年以上前なんですが)
あと、原文がどうなっているか知りませんが、
>きさまの頭をたたき割って月味ウドンでも作ってやるか。
って訳文はどうかと思ったなぁ。月見ウドン、て。古代ブリテンなのに。
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『リア王 』(岩波文庫)
著者:ウィリアム・シェイクスピア 訳者:野島 秀勝
出版 : 岩波書店
サイズ : 文庫 / 346p
税込価格 : \693 (本体 : \660)
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