欲のない絵

これまで、コミック乱で発表してきた読み切りを電子書籍にしようと思ってて、 これはちゃんと有料にして売るつもりだから、ちゃんと売れる表紙をつけねばなぁ、 と張り切って描いて、数時間作業して、だーめだこりゃー、な出来栄えに。

イラストの仕事も営業していきたいと考えてる自分の見通しの甘さにイヤんなってしまった。

張り切ったときほど、おれだってこれぐらい描けるんだーぜー、という所を見せたくて、 ふだん描き慣れてないカメラ位置・むずかしい構図・むずかしいポーズ・感情の微妙なところを表してる表情…… に挑戦して、これくらいも描けなかった……ってなってしまうな。

欲がいかんのだ。欲が。

いわさきちひろ氏が死ぬ前に病床で、
「病気が治ったら、今度こそ欲のない絵を描きたい」
と語ったとかなんとか。

あるよね。もっと売れたい、認められたい、ほめられたい……。そういう欲のない、純粋な気持ちで描ければ、たしかに良い絵になるのかもしれない。

でも、それは幻想な気もする。

もっと上手くなりたい、いままで描けなかったものが描けるようになりたい…という欲があるから上達するんだし。 90で死んだ北斎が死ぬ間際に言った、あと10年生きられれば本物の絵師になれるのに……という言葉に感動しない絵描きはおらんて。

欲のない絵を描きたい……という欲。その、自己言及のパラドックスを踏まえた冗談だったかもしれんしね。 そこはもう、誰にもわからない。

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桝田道也(ますだみちや)
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