安かろう悪かろうのアパートだった
物件を見学した時には、水道は開通していない。したがって、漏水や詰まりや臭いについてはわからない。住んでからじゃないとわからない。
前のアパートは大手管理会社で、住まいの住居は電話一本でまず無償で直してくれ、エアコンなんかの故障でもオーナーに打診したあと、無償で直してくれた。当然といえば当然なのだけど、今度のアパートは家賃が激安なので、その当然が通じる物件ではなさそうなのだ。
ガスも開通して東京ガスの人もチェックに来たが、ひとしきり風呂の湯沸し器をチェックしたあと、
「絶対に使い方を間違えないでくださいね。配管が古いので命に関わりますよ」
「使えるか使えないかで言えば、かろうじて使えるので東京ガスとしては交換を要請することはできないが、できれば使ってもらいたくない」
「あとはお客様と管理会社・大家様との話し合いで決めていただくしかないが、「そういう物件だとわかって入居したんでしょ?」と泣き寝入りになるのが実情」
などと言われた。
ようするに、この立地でこの家賃は破格だったが、破格には破格の理由があった。
ガスもエアコンも水道も、
「使えるか使えないかで言えば、かろうじて使える……まだ完全には壊れていない」
ものばかりだったのである。
管理会社は誇らしげに
「トイレの便座を交換した」
と言ったが、今の私には、この大家と管理会社が交換したということは、もう相当なレベルでやばいことになっていたのだろうなと想像できる。
私が入居時にルームクリーニング費用として3万円を徴収されており(これは退去時に使用されるそうだ)、前住人だってそれを払ったのであろうから、壁のクロスなど見た目だけじゃなく、見学ではわからないそういう設備の部分も直してもらいたかった。まあ、そういう物件だと覚悟して入居した面がなきにしもあらず。
というか、選べる立場に無かったのはこれまでの日記に書いた通り。
と、いうわけで、入居して数日内に手をつけた水周りの補修の話をしよう。
節水コマつけるよ!
流しの水道に目立った問題はなかったけど、節水コマに交換した。
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節約術の定番、節水コマ。知らない人に説明すると、ハンドルの開きに対する水の出る量を 60% ~ 70% に抑えることで、必要の無い水の使いすぎを防ぐというもの。
ちょっと手を洗うのに、勢いよく水を流す必要は無いから……という考え方だ。
逆に言えば、とっとと鍋一杯の水を入れたいのに、時間がかかってイライラするともいえる。
そういうわけで、私は今まで節水コマを使ったり、使わなかったり、使ったり、使わなかったり……を交互に繰り返した。今回は使う時期だった。
今回、節水コマを使った理由は他にもある。
絶対にシンクを錆びさせたくない!だ。次のアパートに引っ越す時によけいな費用を払いたくない!のである。
私は今まで、すべてのアパートで台所のステレンレスを錆びさせてしまった。
錆びた理由のひとつは、片付けられない人間の常として、濡れた流しを拭かずに放置してしまうからであり、なぜ濡れたかの理由のひとつは水はねだ。
そんなわけで、なるだけ水はねを減らしたいので、節約というよりは水の勢いを減らすべく、節水コマを使用した。
普通のコマ(ケレップ)を節水コマに交換するには、止水詮を回して水を止めて、プライヤーで蛇口を開けて中のコマを交換して、蛇口を閉めたら止水詮を開けるだけだ。とても簡単。プライヤーさえ持っていれば。
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これ一本あれば、暮らしの水周りで水道 110 番のお世話になる回数は激減する。普通のロックプライヤーやペンチの代用にもなるし(←たぶんメーカー非推奨)、一人暮らしを始めたら持っておくべき道具だと思う。
洗濯機用の蛇口が不調
使ってみたら、固く締めると逆に水漏れする、という困った症状だった。
この物件の
「使えるか使えないかで言えば、かろうじて使える……まだ完全には壊れていない」
の典型例だ。
ここは節水コマである必要がないので、さっき外した問題の無い通常コマを入れてみたら、症状が治まった。またも水道レスキューのお世話にならずにすんだ。一家に一本、ウォーターポンププライヤーだ。
フロが臭い
見学時にはさほど気にならなかったが、住んでみると風呂場が若干、カビ臭かった。
下水の臭さではないので、先ごろツイッターで話題になった排水トラップが無い臭さではない。カビの臭さだ。年季の入った学校のシャワー室の臭さだ。
これはまあ、目地に入り込んだカビや簡単に掃除できない箇所の問題であるため、一朝一夕の解決はあきらめてしばらくは我慢することにした。幸い、季節はこれから夏なので可能な限り通風させて換気をよくしてみる。
風呂の蛇口が回らない
完全に錆びて回らなくなっていた。東京ガスの人によれば、無理に回そうとすると水道管が折れかねないのでやめとけ、という話だった。ひとまずホースをつけて対応。
トイレのレバーがひっかかりやすい
錆びかけか。556 して古ハブラシでゴシゴシ。解決したとは思えないが、ひとまず様子見。
流しの排水が悪い
住んで、数日して気がついた。流しの排水のキレが悪い。まだ私は調理クズをほとんど出しておらず、洗い物も少ししかしてないので、あきらかに前住人時代からのパイプつまりだ。これも完全に詰まっているわけではなく、
「使えるか使えないかで言えば、かろうじて使える……まだ完全には壊れていない」
だったので、できるかどうかわからないけど、自己解決を試みることにした。
塩素系洗浄剤
とりあえず使ってみた。効果なし。たぶん詰まってる部分まで届いていない。
熱湯
油の固着なら、熱湯で解決できる場合がある。が、これも解決せず。同様に、詰まりの問題部分まで届いていないと思われた。
ラバーカップ
詰まりと言えばこれ。ラバーカップ。ゴムのスッポン。「トイレの詰まりを直すゴムのあれ」と呼ばれるあいつ。
一時期はどこの百均でも見られたが、今日は4軒回ってやっと見つけた。200 円商品にレベルアップする前兆かもしらんね。
使ってみたが、まったく効果なかった。完全な詰まりにはこれなんだろうが、まだ完全にはふさがっていなかったので無力。
パイプクリーナー
百均商品。トゲトゲのついた、ただのプラスチック棒。期待してなかったが、効果があった。
耳垢を掘じくるように、パイプの汚れが取れだしたのだ。少しづつではあったが、確実に汚れがとれることに、なんともいえない楽しさがあった。
しかし、もっとガバッととりたい。
ならば工夫してみよう。百均の商品は工夫してナンボだ。
最初はビニ紐でブラシを作ってとりつけたけど、思ったほど汚れがとれなかった。 なによりこの紐がはずれたら、それが新たな詰まりの原因になるのでやめた。
次に結束バンドでイボイボを作った。これなら外れても被害は少ないし、きつく締めれば、まず外れない。
こうして、掘る→塩素系洗浄剤→熱湯、を繰り返してるうちに、だいぶマシにはなってきた。
しかし。
詰まりの本丸は、パイプクリーナーの棒の届かない、その奥らしかった。
無理矢理、掃除すべきか否か
耳掃除も奥までやりすぎると鼓膜やその他を傷つけてしまう(そもそも耳鼻科の医者は素人の掃除を推奨していない)。
パイプ掃除も、同様かもしれない。素人がやっちゃいけない領域にまで棒を突っ込んで、結局、水道レスキューを頼む可能性は非常に高いと思った。
結局、私はその危険領域に踏み込んでしまった。ここから先を参考にするのは、皆様、自己責任でお願いします。
奥まで届く棒が欲しい…(エロマンガではありません)
なにかないか。探してみた。
配水管はビニールパイプなので、突き破らないよう慎重を期した。
結果……
こいつはアタリがあった。大物の手ごたえ確信した。お前がボスだ!
最後のやつを釣り上げたあと、塩素系洗浄剤→熱湯をやったら、もうなにも釣れなくなった。私は勝利した。
パイプクリーナーで耳垢のように掘ってるときから感じていたけど、本気で釣りと同じ楽しさがあった。あげてみるまでわからないドキドキ感、手ごたえ。期待と適切なリターン。
大物を釣り上げたあと、もう何も残ってないのに、さらに奥を探って根がかりして四苦八苦するところまで、本気で釣りを楽しんだパイプ掃除だった。
戦いすんで日が暮れて
釣り上げたゴミを解体して気付いたのは、やはり生物分解されない物質がけっこう混じってたこと。ビニール素材や、ステンレスたわしのくずなどだ。
が、菌が付着して繁殖してヘドロの芯になりやすいのは、生物由来素材のようだ。髪の毛とか。
だから、スチールたわし、ビニールたわし、亀の子たわしのどれを使うべきかは一概に言えない。
ただ、そもそもたわしを使わないという選択肢もあるのでは……?と思った。
わりと達成感があって楽しかったので、パイプが詰まり気味だったら皆さんもやるといいと思います。