聖橋のたもとで石鑑賞
お茶の水駅の近くに湯島聖堂とニコライ堂を結ぶ『聖橋』という歴史のある橋がありまして。
その橋の神田川側のたもとが興味深いことになっていた — といっても、おそらく何年も前からこうなんだと思いますが — レポートしてみます。
わたしはいつも反対側ばかり通っていたので今まで気付いてなかったんですが、 この日はたまたま神田川沿いの方を歩いていまして。
橋のたもとに、子供ほどの大きさの石が無秩序に並べられ、 柵がしてあるという。
なにか一種のアートなのか、珍しい石なのか。聖橋に関係のある歴史的ないわれのある石なのか。しかしこれといった説明はありません。(※2019追記の註 この記事が書かれた 2009 には、ホームレス排除を目的とした「排除ベンチ」「排除オブジェ」「排除石」が現れてさほど年月がたっておらず、それほど知られた問題ではなかったのです)
ヒントはこのあたりですかね。
まず、浮浪者がたむろするようになったので、寝られないように無秩序に石を並べた。
なんか、そういうのっていっぱいありますよね、東京って。 ただ排除するためだけに存在するオブジェのような突起物とか、 座りやすいけど寝にくく作られてるデコボコのある長ベンチとか。
人間の嫌悪感から生まれる負のパワーとアイデア力ってすごいですね。
……で、浮浪者がいなくなったのはいいけど、 無秩序に置かれた石が、実にまったく無秩序でカオスだったので、近隣住人もマネしてこの場所へゴミを無秩序にカオスに置いて、この街角アートに協力したのでしょう。
それで今度はゴミ捨てを止めさせるために柵を設置して、 この“街角ストーンヘンジ鑑賞スポット”が完成したと。想像ですが。
いや、この手の泥縄式になんだかアートっぽくになってしまった障害物っていうのは、 日本全国あちこちにあって、そう珍しくはないんですけどね。
自転車を降りさせるための障害棒が増加に増加を重ねてニョロニョロの繁殖地みたいになってしまった陸橋の入り口とか。
ただ、聖橋のようないちおう歴史的建造物であり観光スポットでもある橋のたもとがこんなことになってるのは興味深いなと思った。
でもまだ、アートとしてはひと味足りない気がする。
あと一手、加えて欲しい。
こういうのを
「アートだ!」
などとほざいて喜々として写真を撮るような阿呆マンガ家などを排除するために、
勝手に写真を撮ると怒り出しかねないような人たち — 浮浪者など — を配置したらどうだろうか。それでこの作品は完成するだろう。