意外にも、美味しくなったので、ご報告いたします。
世の中に、『Whiskey Elements』なる商品があります。
溝(切れ込み)の入ったアメリカンホワイトオークでしかないのですが、これをウイスキーに24時間浸すと、三年分の熟成が進むという触れ込みの商品です。切れ込みにより毛細管現象でホニャララがフガホゲして、とにかく熟成が進むんだそうです。
本当にに三年分、熟成がすすむのか。
検索してみると、トライした人々の感想は
「変化は感じられるが、三年分の熟成かどうかは、よくわからない。美味しくなったかどうかもよくわからない。
けっこう高い(一本千円。使い捨て)。自分だったら、その千円で安いウイスキー買いたい。」
という声が多いようでした。
私自身は、高いなあと思ったので買わなかったのですが、ともあれ
「変化があるのは間違いない」
のなら、ためしてみたいアイデアが湧きました。
結局、木を浸すだけで変化が起きるのなら、燻製用のウッドチップを酒に浸してみたら、いいんじゃなかろうか?……と。
というアイデアを実行したのが本記事ですが、はなから、失敗する気まんまんでした。
「そんなやり方で酒が旨くなったら苦労はねーよ。厳しい温度管理・湿度管理をして何年も熟成してるメーカーさんの努力をなんだと思ってるんだよ」
と。
ところが、予想に反して、実際に酒は美味しくなったのでした。 バカ舌な上に慢性鼻炎で鼻も利かないから、お酒の香りの良し悪しがサッパリわからない、この私にもはっきりわかるレベルで、違いが表れていたのです。
少なくとも、鼻をつまんで飲むレベルのひどいハードリキュールなら、ウッドチップを浸け込むことで、多少マシにできるというライフハックが発見されたのでした。
100均のウッドチップを不織布茶葉袋に入れて、果実酒用ホワイトリカーと安ウイスキーに浸してみた。
ウッドチップは飲み物に浸すことを前提とはしていないでしょうが、燻製を作るのに使うものだから、そうそう有害な成分はないだろうと判断しました。
しかしながら、もし、この記事を真似する気があるなら、自己責任でお願いします。
また、アルコールはもっとも基本的な溶剤と言われます。そして茶葉袋は基本的にポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンといった成分で出来ています。
これらポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンの成分が、アルコールによって溶け出している可能性は、非常に高いです。
……ふう。では、味の変化をざっくり書きましょう。バカ舌によるバカ舌ボキャブラリーなのはご容赦ください。
ホワイトリカー + ウッドチップ
全体的に、トゲトゲしさが和らいで、ややまろやかになりました。そのままの果実酒用ホワイトリカーの味ときたら、
「ものすごくがんばれば、飲めなくはない。靴磨きに含まれるアルコール分を舐めるのに比べたら、超高級酒とさえ言える」
というシロモノなのですが、それが
「少し頑張れば飲めなくもない。モルトやグレーンが入ってないウイスキーだと言われれば納得できなくもない。それをウイスキーと呼べるかは別として……もちろん呼べないが。700mlで500円以下ならば、買った自分を呪うこともない」
という味になりました。
安ウイスキー + ウッドチップ
カドが立つので、使ったウイスキーの商品名は伏せます。まあ、スーパーのプライベートブランド商品のひとつですね。トリスやブラックニッカクリアよりワンランク下がる程度の価格帯の商品です。
これも、そのままの味は
「これを飲み続けるくらいなら、せめてもう数百円出して、1000円前後の安ウイスキーを買います。自分は酔えればなんでもいい派と思ってたけど、そうじゃなかったらしい」
と自己発見できるという意味において素晴らしいウイスキーです。これが、ウッドチップを漬け込んだら、総じて
「あれ?トリスやブラックニッカクリアを少し上回ってない?700mlで1000円クラスの程度に美味しくなってない?でも自分、バカ舌だからなー。自分の感覚がアテにならないからなー」
という味になっていました。100均のウッドチップですから、個人的には費用対効果が高いハックになりました。
木の粉が出るんじゃないかと思いましたが、出てるかどうかは、私にはよくわかりませんでした(バカ舌)
まあ、木の粉が出て台無しになっても惜しい酒じゃないんですけど。
では、バカ舌なりに、もう少しくわしく感想を書きますね。
クルミチップ+ホワイトリカー
果実酒用ホワイトリカーのギスギスした味が、多少はまろやかになってました。左にあるのは色の比較のために置いた水道水です。浸けてから、ほんの24~48時間で、十分に色が付きました。ウッドチップは色がついたあとも浸けっぱなしにしました。
ミックスチップ+ホワイトリカー
こちらも、味が多少まろやかになりました。クルミとそれほど変わらないように感じました。ミックスチップはナラ、ブナ、カシ、カエデ、クヌギ、クルミのウッドチップです。
リンゴチップ+ホワイトリカー
念のために書きますが、浸けたのはリンゴの実ではなくウッドチップです。香りが華やかに感じられました。クルミやミックスにくらべると、まだギスギスした部分が強いように感じました。
サクラ+ホワイトリカー
香りはリンゴほど出てはいませんでしたが、味に個性がありました。形容しがたい不思議なフレーバー。それが美味しいかどうかは、私にはなんとも言えませんが。しかし、そのままの果実酒用ホワイトリカーよりは美味しかったです。
クルミ+ウイスキー
味見してまず、悪くない……と感じました。ちなみに、そのままの安ウイスキーに対する私の感想は
「うはは、さすがに不味いwww笑わせてくれたから許すwww」
です。
安ウイスキーのケミカルな感じがやわらぎ、まろやかさが出たように感じました。
ミックス+ウイスキー
まろやかになってはいるのですが、いまいちパンチのない味だと思いました。個性がない分、飲みやすいとも思えます。
飲みやすい……というのは、30°以上の強い酒が飲める人ならば、という意味です。ビールのようなアルコールの少ない酒のようにゴクゴク飲めるという意味ではありません。
リンゴ+ウイスキー
悪くないと思いました。ホワイトリカーのときほど香りは強く出ていない感じでした。クルミやミックスほどにはまろやかにはなってないと思いました。
サクラ+ウイスキー
良いと思いました。味に個性もあり、いまのところ、これがいちばんのアタリだと感じました。
さて、この記事はいったん、ここで終わりますが、さらに熟成を進める案をいま、考えております。
もし、うまくいったら、この記事に追記するでしょう。目論見が外れたら、無かったことにしますので、皆さんも
「ああ、失敗したんだな」
と心の中で思ってください。