(この記事は2004年に書かれたものです。その後の実情と乖離があるかもしれませんが、筆者は把握していません)
マンガの約物の話。
>約物 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%84%E7%89%A9
少年マガジンの場合、リーダー(「…」や「‥」の名称)は2点リーダー(「‥」)を使うと決まっている。
作者が3点リーダーを使いたくても、頑として2点リーダーに変更させられてしまう。
2点リーダーは2マス以上無いとちょっと間抜けに見えてしまう……からかどうかは知らないが、とにかくマガジンの場合、原則として
「写植におけるリーダーは2点で2マス以上」
というルールが適用されることになる。(手描き文字は除いて)
同じ講談社でもヤングマガジンやモーニングでは3点リーダーを使う。この違いは……
……この違いはなぜかという疑問。小説や一般記事だと
「読みやすさを保つために、リーダーは2マス以上にしましょう」
というのは常識ではあるのだけれど、限られたスペースにセリフを詰め込まなければならないマンガだと、それは辛い。
原則2マス以上という枷(かせ)は、マンガには想像以上に重くのしかかってくる。
で、けっこう弊害のほうが大きいと思うんだけどなぜ2点リーダーにこだわるのか?3点リーダー1マスじゃどうしていけないのか、長いこと疑問に思っていたわけです(たとえばドラゴンボールは1マス3点リーダを多用しまくっています)。
で、ここからは完全な憶測なんだけど、これはマガジン創刊当時の印刷環境に配慮した結果なんじゃないかと。
他社に先駆けて週刊マンガ誌を創刊した講談社としては、当時の子供がおこずかいで買える値段を実現するためには、かなり紙質を落とさなければならなかったはず。
マンガ誌の紙質が低いのは今でも同じだけど、当時の印刷技術ではかなりの頻度で潰れや滲みが発生したと思うんですよ。
3点リーダー「…」1マスだと、印刷が潰れた時に「…」が「!」や「i」や「|」に見えてしまいかねない(注:縦書きで考えること)。
2点リーダーならば、多少の潰れでも点と点がつながる事はまず無いし、2マスあればカスレで点が1個飛んでもそれがリーダーだと認識できる。そういう時代背景があったんじゃないかな~と。
だから印刷技術が向上してから創刊されたジャンプだとか青年誌などでは、普通に3点リーダーを使っているんじゃないかと思った……という話。
いや、あくまで憶測ですけどね。確証は何も無いです。
最初の方で2点リーダーの弊害を述べたけど、逆に今の時代だからこその利点もあるかと。とにかく縮小した時の識字効果が高い。
これは、文庫本化や携帯端末用のデジタル化の際にかなりの強みになると思うんですよ。
たとえ液晶のdpiが紙と同じレベル(1500~2000dpiくらいかな?)まで追いついても、スマホのサイズが胸ポケットより大きくなることは無いだろうから(もちろん、いつの時代にもキワモノはありますから、そういう一部のキワモノは考慮に入れない前提で言ってます)。
デバイスの高精度が進んだところで、肉眼で読みやすい大きさは 9pt 以上って線は、ゆるがないですしね。
8ptまたは12pxが下限と思いなされ若い衆、老眼ジジイからのアドバイスぢゃ。
で、余談。集英社のマンガの「!」が斜めになってるのも同様に、印刷が潰れたりかすれたりした時の誤読を避けるためなんだろうか? と思ったんですが、調べたところ集英社が「!」を斜めにしだしたのは、1990年前後らしい。
この頃には、もう印刷技術は現在にさほど劣らないレベルに上がっていたはず。う~ん、単に他社との差別化ですかね、これは。
参考リンク
人力検索サイト「はてな」に寄せられた質問
Q.「3大週刊少年漫画誌(ジャンプ、マガジン、サンデー)にはそれぞれ自分には奇異に感じられる編集方針(?)があって、
・ジャンプの「○○先生の作品が読めるのはジャンプだけ!応援よろしく」
・マガジンの唐突な「!?」
・サンデーのセリフに必ず読点「。」をつける
上記の方針はどういう理由で生まれたのでしょうか。あと、チャンピオンについては上に書いたような妙な特徴は思い当たらなかったのですが、その他にも週刊少年漫画誌を読んでいてちょっと変だと思われる部分があれば教えてください。
http://www.hatena.ne.jp/1099893780