『暮らしのことば 擬音・擬態語辞典』感想
長所
- 用例が量・種類ともに豊富なところ。特にマンガでの用例を多数掲載している点は、この手のお堅い本としては評価できる。引用されている作家と作品は以下の通り
- 赤塚不二夫『おそ松くん』
- あさりよしとお『宇宙家族カールビンソン』
- 植田まさし『コボちゃん』
- うえやまとち『クッキングパパ』
- 東海林さだお『サラリーマン選科』
- 蛭田達也『新・コータローまかりとおる!柔道篇』
- 松本零士『男おいどん』
- 用例のみならず、語によっては類語・語源・変遷の歴史も解説してあり、参考になる
短所
- 歴史のある擬音・擬態語が多数収録されている反面新しい擬音が収録されていない。擬音は流行り廃りが激しい言葉なので、その判断は理解できるが、「ちゅどーん」や「どぴゅっ」すら収録されないというのはいかがなものか
- 淫らな音、汚い音もほとんど収録されていない。せいぜい 「ぷっ」:放屁の音 がある程度。収録語に明らかな偏りがあるというのは、辞書としては問題がある
- 用例として小説や雑誌はかなり多岐にわたり引用されているのに、マンガからの引用は上記7作品のみ。これは少し残念だった
あと、特筆すべきはコラムの有用性か。 小説・マンガに応用の利く話が揃っているので、 このコラムだけでも目を通しておく価値はある。 本自体は¥3,900と、多少買うのに躊躇する値段ではあるが。