ビックリハウス祭り・ビックリハウス住宅展示場
渋谷パルコpart3 2004/1/17~2/8 入場料 :一般700円/学生500円
~2/8までだから、あと数日も無いけど、気にせずレポート。
結論:ビックリハウスを知らなくて、 会場でバックナンバー読みふける時間があるなら行く価値は多少、ある。
展覧会自体は、厳しい言い方をすれば
「例えると、かつて輝いていたミュージシャンの再結成懐古ツアー」
という印象を拭えなく、入場料に見合う内容であるとは言えなかった。
ビックリハウスは1974~1985にかけて刊行された伝説の投稿系雑誌だ。 ジャンプ放送局やOUTやファンロード、etc、etc……などの投稿系の雑誌や企画、 さらにはあまたのサブカル誌に多かれ少なかれ影響を与えている、と言われている。
今回の展覧会では、この雑誌の執筆者/投稿者が集まって50cm大の家型ダンボールを キャンパスにして絵画だったりオブジェだったりを表現しているわけだが、 出品者のメンツを見るだけでもこの雑誌のすごさがうかがいしれる。
たとえばマンガ/アニメ系だけを取り上げると、 久里洋二/内田春菊/鈴木志保/かとうけんそう/しりあがり寿/中尊寺ゆつこ(以上、敬称略) といった面々が出品している。
また、会場にはビックリハウスのバックナンバーの一部が置いてあり、自由に読むことができる。 筆者は読者ではなかったので、この雑誌への思い入れはまったくなかったのだが、 20年を経て色あせることなく面白い、いや現在でなお通用するどころか 他を圧倒するだけの面白さがあると感じた。 当時、休刊を嘆く声が少なからず各所で見られたのも当然だろう。
と、誉めるのはここまで。問題はメインの展示の『ビックリハウス住宅展示』だ。
一言で言えば、ほとんどの出品者がフツーの仕事をしているな、という印象。 肩の力を抜いて作家が自然体で作っているというか、 やっつけ仕事をしている人ばっかりというか……。
とりあえず、 かつて原稿や投稿でライバルと鎬を削っていた頃の気合を感じさせる出品者は数名しか見当たらず、 歳をとって丸くなった人たちによる同窓会的展示であった。
それはそれで当時を懐かしみたい層には結構な事であるが、
この展覧会で入場料を700円も取るのは
「ビックリハウスを知らない世代に、この雑誌が時代へ与えたインパクトを伝えたい」
という趣旨にそぐわないのではないだろうか?
もっとも、出品者のアンケートが収録された「ビックリハウス131号」 (この展覧会の目録。本家のビックリハウスは1985年の130号が休刊号だった) は買っておく価値があった。
ちなみに写真は見てわかる通り、日比野克彦の作品。