マジでタダだ。育つぜ愛国心!本物の『蒙古襲来絵詞』(…の一部)を見たど!
三の丸尚蔵館 第73回展覧会 – 宮内庁
「駒競(こまくら)べ―馬の晴れ姿」
http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/tenrankai73.html
……を、見てきました。
そもそも、三の丸尚蔵館について、よく知りませんでした。尚蔵館の読みが「しょうぞうかん」でいいの?と不安になるくらいの知識しかありませんでした。
知っていたのは、
- 皇室の御物を展示するための施設である
- 三の丸尚蔵館は皇居(江戸城)の三の丸(東御苑)にある
- 東御苑は入場無料
ということくらい。
ところが、「祝!松江城天守国宝入り!指定文化財の数で見た日本の城ベスト20 – NAVER まとめ」というまとめを作った時に三の丸尚蔵館について調べて、もう少し詳しく知ったのです。
三の丸尚蔵館は,皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類が平成元年6月,国に寄贈されたのを機に,これら美術品を環境の整った施設で大切に保存・管理するとともに,調査・研究を行い,併せて一般にも展示公開することを目的として,平成4年9月に皇居東御苑内に建設され,翌年11月3日に開館しました。
というわけで、
- 基本的に無料っぽい
- 御物(皇室の宝物)でなければ国宝指定まちがいなし級の収蔵品が数多くある
- そうでない収蔵品も数多くある
- やんごとなきお方は奉納された宝物を格付けしたりせんのだ!(たぶん)
- 常設展はない
- 展示内容は企画展に合わせていれかえるので、目当てのものが展示される企画を待つしかない
ということを知りました。
国宝級のものが見られてタダ!すばらしい!皇室ばんざい!太っ腹!
え?でも常設されてないの?案外セコい?
……などと思いました。それで、国宝級のものが見られてタダ!なのはいいけど、いまいち私が見たいものと企画展の内容がなかなかマッチしなかったので、これまで行かずにいました。
なぜ、タダなのか。なぜ、常設展がないのか。行けばすぐわかることだったのですが、モヤモヤを抱えたまま半年以上行かずにいたのです。
しかし、ついに見たいものが!『蒙古襲来絵詞』が見られるんですってよ奥様!しかもタダで
サイトを見たら、企画展:「駒競(こまくら)べ―馬の晴れ姿」の前半で『蒙古襲来絵詞』の前巻が見られると描いてありました。
マジか!教科書に載ってるあれが、マジでタダで見れんのか!行かねば!というわけで、喜び勇んでママチャリこいで、久々に江戸城まで行きました。
ちなみに東御苑は入場無料ですが、派出所で手荷物チェックがあり、鞄の中身を開けて見せなければなりませんでした。
以前に東御苑に入場した 2009 年にはそんなチェックはなかったので、IS などのテロとの戦いの拡大が……という感じですね。
江戸城にはお城好きとして、何度か来てる。今日は展覧会が目的なので、それほど寄り道せず、まっすぐ三の丸へ向かいました(平川門から入場してしまった)。
着いてわかった。入場料がタダの理由。常設展がない理由。小さいんだ、この建物。市区町村の郷土資料館の半分ほどもない。
これじゃあ、常設展は設置できないし、人気のある収蔵品をたくさん展示すると入場者が殺到してさばけなくなる。内容を薄くせざるをえない(それでも数百円の入場料が取れる内容だと思うけど)
理由がわかったところで、目当ての展覧会のために、中へ向かいます。
館内は撮影不可
館内は撮影不可でした。
詳しい目録は
第73回展「駒競べ―馬の晴れ姿」出品目録 – 宮内庁
http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/tenrankai73-list.html
をご覧下さい。
以下、私が感銘を受けたものの感想。
まずは目当てのものから。
『蒙古襲来絵詞』より前巻第17紙 (前期のみの展示)
すばらしい。案外ちいさい。あの有名な「てつはう」の炸裂するシーンは展示されていませんでした(わかっていたけど、ひょっとするとひょっとして……という期待はあった(笑))
700 年ほど前、御家人の竹崎季長くんは、この絵巻物を見せて、自分の活躍がいかに褒美に値するか、プレゼンしたわけですな。言わば 700 年前のパワポ。……というと、一気にありがたみが減るのはなぜでしょうか。
700 年前も現在も、人の心を動かすのはビジュアルだと思うと、絵を描く人間のはしくれとしては胸を打つものがあります。
小栗判官絵巻 第六巻 第十五巻
伝 岩佐又兵衛。細かい極彩色の絵巻物でね。この絵巻については、中世被差別民の研究史料のひとつだよね~くらいの知識しかなかったのですが、本当、色鮮やかで目の覚めるような、すばらしい絵でした。
ただ、この第六巻 第十五巻の展示されていたシーンがイメージ検索しても出てこない。
↑は第七巻の場面らしい(私は見てません)。この、男塾っぽい文法で描かれた馬、いやいや時系列逆だから!男塾が小栗判官絵巻の文法で描かれてるんだから!……の、この馬が称えられ社が建てられたシーン(だと思う)が展示されていました。
死んで乾漆造の像だから巨大になったのかと思いきや、もともとでかかったのか……
細かさだけなら自分でも頑張ればこのくらい描け……と一瞬、思ったものの、
「あ、これ岩絵具だ」
と気づいて、学生時代の日本画の授業の思い出がよみがえり、嫌な汗が出ました。
ほんと、日本画とかフレスコ画とか、扱いにくい画材であえて描くマゾ絵師にはかないませんわ。
膠とか。漆喰とか。卵白とか。ありえない。マジで(暴言すみません>日本画、フレスコ画クラスタ)
油絵具でさえマゾいと思う僕ちゃんです。
旧白河城での産馬天覧の写真
上記の目録にないので、展示品扱いではなく、説明パネルの一部扱いだったのかもしれませんが、これが興味深かったです。
明治天皇は馬の殖産を気にかけてなされたそうで、馬の産地である東北地方をしばしば天覧なされたそうです。
その、あるとき旧白河城の城址で行われた展覧のために馬と馬主が 1,500 頭ほど集まってる写真が圧巻でした。21 世紀じゃ、まず見られない光景。
見た!出た!あとは江戸城さんぽ。
展示点数が少ないので、30 分とかからず観賞は終わって退館しました。
図録は 1,700 円と、意外に高かったのであきらめました。見本を見る限り、内容はしっかりしていたのですが、ありていに言うと、1,700 円が負担に感じるほど貧乏なので。1,000 円だったら買ってたかな。
あとは江戸城散歩。まえにじっくり見てるので、きょうはゆるく流しただけ。
以前に本丸を訪れたときは、
「休憩なんかしてるヒマはねえ!」
と中に入らなかったので、存在に気づかなかったんですな。
世の中に罠のタネは尽きません。