『パース!マンガでわかる遠近法』
まずまず、わかりやすい。
ただ、まったくの初心者にはボリュームがありすぎるし、 中級者以上には足りない部分や内容に問題のある部分がチラホラ存在する。
普通の本を読むのは苦手、マンガなら読めますという人以外には、買うほどの価値は無いと思う。
初心者には厳しいというのは、学び始めでは重要ではない情報を序盤に詰め込みすぎている点。 それが後になって必要になるのはわかるが、 1点透視法の解説に入るのが「第6章」ってことはあるめえよ、と。
逆に3点透視くらいまでの基本をマスターした人間には、たぶん物足りない内容。 例えばパース教習本の定番の〝下り坂を見下ろした風景の消失点の取り方〟なんかは解説していない。
もちろんこの本の他の部分で解説されている基礎テクニックを応用すればそうした図もかける。が。しかし。
中級者が知りたいのは
「どうやれば消失点が求められるのか?」
ではなく、
「どうやれば早く効率的に消失点が求められるのか?」
であって、それに必要なのは作業プロセスの具体例なんだけど、
この本はその点であまり期待には応えてくれない。
あと、細かい部分でパース教則本の主流からは外れた点が多く見られた。
その点については著者自身
「ほかの本は…(中略)…だが、この本はちがうぜ」
と述べているのだが、主流派が主流を占めているのにはそれなりの理由があることは踏まえて、
本書を読むべきじゃないかと。
最後にもう一つ。 実用度をヌキにしてこの本がマンガとして面白いかどうかと言えば、 これはもう心のそこからつまらないと断言できる。 自分はアメコミやアメリカンジョークが比較的好きで、 この手のモノに抵抗や偏見はたぶん少ない方なのだが。