『 歸空庵(きくうあん)コレクション 日本洋風画史展 』
板橋区立美術館
2004年8月21日(土)~10月24日(日) 一般500円 高・大生300円 小・中学生100円
安土・桃山以降の日本における洋風画の展覧会。
小田野直武(ja.wikipedia.org)
やら司馬江漢(ja.wikipedia.org)
の作品が展示してあるとあっては、
『風雲児たち』(www.fuunji.net)
大好きッ子は観にいくでしょー、観に行かいでか。という話ですよ。
無名の作家による洋風画は、なんだか愉快な作品が多かった。
一点透視図法とかみようみまねで描いてて、
「あ~、当時の最先端技術だったんだね~。パース狂ってるけど」
と微笑ましい。
で、小田野直武。司馬江漢。俺的に目玉のコーナー。
目を閉じれば『風雲児たち』の名場面が浮かんでくる。 が、目を閉じると肝心の作品が見られないのでここはカッと目を見開いて鑑賞して回った。
不忍池の水彩画なんか、特にグッっと来るモノがありまくり。
「おお、このとき直武と佐竹曙山が並んで座ってスケッチしたのかなぁ……」
と感慨にふけったり(まあ、それはさすがにフィクションだと思うが)。
あと、司馬江漢は絵が上手いのだな。 歴史の教科書に載ってる変な油彩画しか知らなかったんで少し驚いた。 司馬江漢の作品に関しては図版ではなく本物を観る価値があった。
で、展示はさらに進んで亜欧堂田善(www.city.sukagawa.fukushima.jp) のコーナーへ。
自分はこの画家のことをまったく知らなかったのだが、作品を見てかなり驚いた。
上手くて。それもかなり。
ひどいのもあったけど、良品に限って言えばもっと有名になっていいくらいの技術力。 芸術性 - 絵画としての面白み – にやや欠けるような気はしたが。
特に銅版画に至っては司馬江漢の一歩先を行くどころか、 完全に当時の西洋の水準に到達していて、西洋の物真似の域から脱却していた。
言われなければ江戸時代の日本人が描いた作品だとはとても信じなかっただろう。
亜欧堂田善はほとんどの画家が間違った一点透視図の洋風画しか描けなかったあの時代に、 ほぼ完璧な二点透視図の風景画を残している。
いったいなぜこれほどの画家が、 日本史・特に蘭学史であまり大きく扱われてないのかわからない。 リンク先の人物伝を読んでも、歴史的影響力が少なかったようには思えないのだが。
……悪名高い寛政の改革を断行した松平定信の御用絵師ということで、 学者から嫌われているのだろうか?考えすぎか…。
なんにせよ、なかなか愉快な展覧会だった。 図録を買うほどでは無かったが、入場料相応の内容だったと思う。