近世大名は城下を迷路化なんてしなかった_バナー



[波瀾万城シリーズ] 『どっからみても波瀾万城 第ニ話・江戸城』について

この記事どう? ええよ~

『どっからみても波瀾万城 第ニ話・江戸城』について

コミック大河 vol.2 ( 2010-02-25 発売号)に掲載されました。

お城を題材にしたお城擬人化オムニバスうんちくマンガ第二話です。

edo-castle.png

表紙。寛永期江戸城天守想像図。基本的に江戸時代の設計図から起こしたのだけど、私は専門家じゃないので間違ってるかもしれない。

っていうか石垣の算木積み間違ってる!(↓は当時、自分でつけたコメント)

桝田道也 ああああ大間違いにー!気がついたー!
天守台の隅石がー!算木積みになってないいいい!
トレス元CGを作るときに手抜きして四面とも
同じテクスチャにしたのを愚直にトレスしたからだー!
気付けよペン入れのときに!オレの馬鹿ーッ
ぐぎゃああああああああああああああああああ

なぜ江戸城なのか

連載が軌道に乗るまでは通好みと言われるような渋めの城は避けて、 ベタに有名どころに乗っかろうと思っているわけです。

だから、第一話は日本一有名な城で世界遺産でもある姫路城とわりかし簡単に決まりました。

では、第二話はどうするか。

順当に考えれば、国宝四城のうちの残り3つのどれか。犬山/彦根/松本のどれか。

あるいは日本三名城の大坂/熊本/名古屋のどれかか。

天守が再建されてすらいない江戸城は、あんまりベタとは言えないわけです。

じゃあ、なんで江戸城にしたのかというと、それはつまり、首都圏の人間が手っ取り早く見物にいける城だから。 私も取材に行きやすかったし

東京偏重か、やい、コラ。と言われれば、その通り。返す言葉もありません。

マンガのネタになるエピソードも山ほどありますしね。 今回は寛永期以降を描いたわけですが、 もし連載がずっと続いて百名城も使い果たしたら、 家康入府の頃の江戸城を描いてみたいです。 別に城一つにつきマンガ一本に限ると縛ってるわけじゃない。

かわいく描けない

擬人化された江戸城の登場のコマなんですがね。 ここで読者をつかまなければならない大事なコマなんですが、 何度も何度も何度も何度も下描きをやりなおしたものの、 結局、かわいく描けなかった。あううう。

じゃあ、それ以降のコマで可愛く描けてるかといえば、それはその、えーと、まぁ、私にしては描けたコマも少しはあるような気が……(弱気)

ああいう、単に登場するだけのコマの表情がいちばん描きづらい。 ツッコミとかリアクションとかの表情は描きやすいです。

ドット絵

haran_02-02.png

「火事とケンカは江戸の華」の「華」を爆弾男風に表現。 あっ「くさかんむり」の部分、間違ってる!(いま気付いた)

ちなみに私はこのゲーム、超苦手です。トラウマとさえ言えるくらい。 網点化するとよくわかんなくなっちゃったな。

急がば回れのくだり

論理の展開としてはちょっと無理があるなーと思いつつ、他に案もなかったので押し切った。

諺の由来となった“武士(もののふ)のやばせの舟は早くとも急がば廻れ瀬田の長橋”(→瀬田の唐橋 – Wikipedia)が、なぜ笑話集である「醒睡笑」の「こじつければなんとでも言える」の項に収められているのか。

ちょっと私なりの個人的な解釈を述べておきます。上にリンクも張ったウィキペディアによれば

東から京都へ向かうには、瀬田まで南下して唐橋を渡るより、矢橋(やばせ)の港から船に乗って大津へと琵琶湖を横断する方が速いとされていたが、この航路は突風に遭う危険があった。

ということらしい。だから、急がば廻れ瀬田の長橋を素直に解釈すれば
「楽で速い方法より遠回りでも確実な方法をとった方がよい」
と受け取れる。間違ってない。でも、「醒睡笑」なんですよ。「謂へば謂はるる(こじつければなんとでも言える)」なんですよ。ちょっとひねくれた見方をしないといけない。

とすると
「急がば廻れ瀬田の長橋」
というフレーズは
「どんなに遅くても陸路で行く方が溺れて死んで到着できないよりは、早い
というムチャな極論を展開という笑いだと考えるべきではないかと思うわけです。 この解釈なら笑話・こじつけとして成立する。

……という私見でした。まぁ、よくわかりませんけどね。素人考えかな。

「自然と平和を愛する城に~」というセリフ

できれば、江戸城(現皇居)が都心における貴重なビオトープ(生物生息域)となっている件などを盛り込みたくて、それでそんなセリフになったのだけど、最終的に尺の都合で入らなかったです。

オチ

英語、間違ってないといいんだけど。

最初に予定してたオチがボツになって、 どうしたもんですかねー的に悩んでたら担当が
「時事ネタに行ってもいいんじゃないですかー」
と言うので、ああなりました。

私としてはめずらしいタイプのオチかな。背中を押されなきゃ自分からは描かないタイプのオチ。押してもらって助かった。

こういう表情の方が描いてて楽しい

haran_02-03.jpg

いい顔だ。

写真

武蔵国 江戸城

まだ枚数は少ないですけど、取材時に撮った写真をこれから少しずつ増やしていくつもりです。

天守の無い江戸城(皇居)ですが、個人的には石垣の見事さと千鳥ヶ淵の広さ深さで、ご飯三杯はいけると思います。

土から成ると書いて城。原理主義者的には掘りと土塁こそが城の本体。天守なんかオマケじゃーい!(言い過ぎ)


↓『どっから見ても波瀾万城』の試し読みがあります(試し読み部分は第1話:姫路城の全部と第3話:五稜郭の一部です)

 >お城擬人化娘マンガ『どっから見ても波瀾万城』 | ブログ桝席
 http://blog.masuseki.com/?p=8657

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