『どっからみても波瀾万城 第八話・松本城』について
コミック大河 vol.8 ( 2010-08-25 発売号)に掲載されました。
お城を題材にしたお城擬人化オムニバスうんちくマンガ第八話です。 題材は国宝、松本城。
表紙。大天守を目立たせたいので小天守をあまり描き込まないようにしたのだけど、 なんで濃さがちがうのって思われるかな。うーん。
お濠に小さくガチョウが描いてあるのは、この城の別名が鵞湖城だから。
松本城を鵜城と呼ぶのは俗称。鵜城と言ったら正しくは備前岡山城のことを指す……とはいうのだけど、別名とか通称とかあだ名に正しくもなにも、とも思う。
別名が鶴ヶ城だの霧ヶ城だのという城ってたーくさんあるしなあ。
絵のタッチとか
小田原城、彦根城と、突発的にタッチを変えたくなっていろいろやったりしましたけど、 満足したので今回は私の素のタッチで描きました。
擬人化も「黒」という以外にはこれといって特徴もなく、 そういう意味では「白」という以外に特徴が無かった第一話『姫路城』に連なる、 原点回帰みたいな回だったかも。
でも、あんまり、成功してない……正直、失敗したかなと思ってます。今回の話。
あんまり面白いギャグも出なかったので、せめてウンチクだけでも盛りだくさん……と思ったものの、かえって散漫になってしまった感じが。
その著書を私も何度も参考にさせてもらってる三浦正幸氏が『城のつくり方図典』で書いておられた
“石落としは石を落とすためというよりは下方向への鉄砲狭間の役目が主であった”
という記述に疑問を投げるとか、自分の身のほど知らずにあきれる。
わざわざ作者として出て、あんなこと書かなけりゃ、もっと読みやすくなったよなぁ。
ラストも、オチなんかなくていいから良い話な雰囲気でまとめて欲しい編集サイドと、 なんとかその意向を回避してつまらなくてもいいから「これはギャグマンガですよ」的なレッテルとして、きちんとオチをつけたい作者とのせめぎあいで、 いびつな形になってしまったな……という。
こまかいコネタは気にいっているんですけどね。「Udon / SOBA」とか石落の説明でちちびんたリカ風に描いたりとか。
でも結局、コネタを頑張ってるってのは本編に良いギャグがないことの裏返しでしかないなあ。
……こんな話、作者がすべきではないんですけど。 今回の話が気に入ってる!って人がいたら、ごめんなさい。
信州
作中の、信州の名物を挙げるシーンで乾物ばかり連発……というところ、 あれは最初はイナゴやハチの子など信州名物(?)の虫食にするつもりでした。
特定の県の食文化をネタにするのはよくないってことでNG。
私ァけっこう、好きですけどね>イナゴ。ハチノコは食べたこと無いけど。
他にも信州民はすぐ裏切る~みたいなことを書いているし、擬人化松本城は腹黒いキャラだしで、けっこうキワどいことになっている。
別に信州民に個人的に恨みがあるわけじゃないです。念のため。
ただまぁ、武田滅亡によって、
「次々と家臣や協力してきた土豪が裏切っていって、なしくずしてきに滅んだ大名」
として有名なので、そこを強調しただけです。
裏切りなんて、戦国時代の日本中、どこでもあったわけで、そんな時代に薄情もくそもない。生きのびるために強いほうにつくのは当たり前の時代でしたからね。
ただ、田畑を離れて逃げ隠れしながら生きのびるのが難しい平野部の農耕生活者と、 野山に逃げ隠れサバイバル的に生きていきやすい狩猟採集生活者では、 裏切りのリスクが違っていたんじゃないかとは思います。
……根拠、薄いか。
歴史王グランプリ2008まさか!の日本史雑学クイズ100連発!のアレ
開城した理由についての不適切報道:2008年2月16日、TBSのクイズ番組(歴史王グランプリ2008まさか!の日本史雑学クイズ100連発!)(進行役・久保純子)が、「明治元年の戊辰戦争の際、会津若松城に籠城した人たちが、城を明け渡した、とんでもない理由とは?」で、正解が「何と、糞尿が城に溜まり、その不衛生さから」とされ、市民などから市役所に猛抗議があり、同年4月8日にTBSは、非を認めて、謝罪放送を流した。
戦国時代から、籠城が失敗する大きな要因に一つに”不衛生から来る疫病の発生”があるらしいんですね。糞尿処理の問題だけじゃなく、満足に洗濯もできず衣服を干せず日光浴もできず外部から医者も呼べず薬も不足し……ってことになるらしい。
だから糞尿が溢れたのが敗因とした TBS のあの番組も、完全に大間違いではなかったのかもしれない……
……の、ではあります、が。
やっぱり会津若松城が降伏した主要な理由は南東の小田山が奪取されて大砲が設置され、砲撃が本丸まで届き始めたこと。奥州列藩が降伏し援軍の希望がなくなったことの二点だよなぁ。どう考えても。
↓『どっから見ても波瀾万城』の試し読みがあります(試し読み部分は第1話:姫路城の全部と第3話:五稜郭の一部です)
>お城擬人化娘マンガ『どっから見ても波瀾万城』 | ブログ桝席
http://blog.masuseki.com/?p=8657