国立西洋美術館 企画展:『イタリア・ルネサンスの版画』
- 「チューリヒ工科大学版画素描館の所蔵作品によるイタリア・ルネサンスの版画 ルネサンス美術を広めたニュー・メディア」
- http://www.nmwa.go.jp/jp/html/collection.html
- 2007 年3月6日(土)~ 5月6日(祝)
版画…特に銅版に直彫りするエングレーヴィングが好きなので、これは見逃せないと意気込んで見に行きましたが、やや期待はずれの内容でした。
小雨の降る平日午後4時頃に観にいったこともあって、館内は空いていて、じっくりと観賞できました。
展示点数も 133 点と多く、楽しんだ観賞時間から考えれば十分、元は取れたとも言えます。
しかしながら、個人的には心に響くほど素晴らしい作品は少なかったです。
イタリア・ルネサンスということで、デューラー(ドイツ)の作品は少ないのかもな……とは思ってましたが、木版画が4点・銅版画が2点(うち1点は参考作品)は、少なすぎるように思えます。
参考作品以外はどれも小品でもありましたし。
そりゃ、メランコリアの本物を見せろとか贅沢は言いませんけど、犀(→画像:Du”rer – Rhinoceros.jpg – ウィキペディア)のような、こういうのを期待していたんですけどね。
とどめにこれ。
そりゃ、この作品ならデューラーの画集にはたいてい収録されてるかもしれない。
でも、本展覧会でもっとも価値のある作品を図録に入れないって、どんだけセコいんだ?と感じずにはいられない。
「収録していません」
と断りが書いてあるだけ良心的かもしれないけど、観覧した多くの人はそんな図録を買う気にはならないだろうと思うのだけど。
売る気が無かったのだろうか。
肝心の作品が未収録の図録の見本をパラパラと眺めましたが、図版は小さいし、個人的にはどうでもいい作品の宗教的解釈だとかが長文でずべずべと載ってたので購入は見送りました。
とりあえず、版画そのものより、西洋版画の歴史に興味のある人向けの展覧会という感じでしたね。
良かった点もあったんですよ
現物によって、印刷では飛んでしまうような極細のタッチを見ることができたのは収穫でした。
じっくり考えながら見ることで、今まで見落としていたような部分に気づいたりできたのも良かったです。勉強になった(ような気がします)。
今まで画集で見て、
「こんな細かい描線は人間業とは思えない。きっと縮小印刷されているんだ、そうに違いない」
と思い込むことで心の平安を保っていたのが、原寸だったと思い知らされ、打ちのめされたのも逆にすがすがしくて気持ちよかったです。マゾ?
凸版である木版でのハッチングとか、人間業と思えないんだけどな。
単版じゃないならまだわかるんだが。その辺、どうなんだろう。
版木も見られる展覧会とか無いかな?あったら観にいくんだけど。