携帯電話とマンガと解像度

この記事は 2006 年に書かれました。2007 年に発売された iPhone 以前の状況にもとづく記事です。

VGA 携帯の解像度と表示領域とマンガについて

当世携帯電話事情にうといので、VGA液晶を持つ携帯電話が出ていることを今ごろ知りました。

現在、携帯電話で読むマンガはコマ単位で表示されているわけですが、VGA ( 640×480 ピクセル )が表示できるのであれば、読むことのできる解像度で1ページを丸ごと表示できるのでは?と思ったのです。

VGA サイズのサンプル

vgasample.png
横 457 px × 縦 640 px

マンガで使われる標準的な文字サイズが 18 級( 12pt )~ 20 級( 14pt )なんですけど、VGA サイズに縮小すると、それぞれ 9ピクセル~10 ピクセル の大きさ。アンチエイリアスがかかっていればまっとうに読めますね。

16 級( 11pt )= 8 ピクセルは、さすがに漢字が潰れてて、ストレス無しに読むのは難しいと思います。

ということで、解像度的には問題はないと思えました。 

が……

実サイズが問題

携帯電話のディスプレイって対角2インチ~3インチですよね。VGA 携帯の多くが対角 2.6 ~ 2.8 インチ。携帯電話と言うより PDA に近いと言われる W-ZERO3 が 対角3.7インチ。先の画像をそのサイズで表示すると、こうですよ。

2.8型
vgasample.png

3.7型
vgasample.png

このサイズに縮小すると 96ppi 前後の解像度では潰れて見えてしまいますが、 高精細液晶の携帯やモニタでは、このサイズで潰れずに表示されるわけです。

でも、機器の解像度的には問題がなくても、このサイズじゃ人間の眼の方が追いつかないですよね。

20 級( 14pt )の文字が約 1mm ~1.5mm 。豆本を虫眼鏡で読むのが苦痛じゃない人以外、ストレス感じまくりでしょう。

未来に期待

単純に携帯のディスプレイが大きくなってくれればいいんですけどね。しかし携帯できるから携帯電話。ワイシャツの胸ポケットより大きくなることはないでしょう。

やはり、折ったり丸めたりできる電子ペーパーが普及価格帯になるまで、携帯電話でマンガをページ単位閲覧するのは難しそうです。

コマ単位に分割って、過渡期ゆえのアダ花な処置って気がするんですよねぇ。

 

追記:2020 年にはどうなった?

さて、上の記事を書いてから 14 年(え?うそだい!マジか!やめろやめてくれ!……というのは置いといて)。

世はスマホがあたり前になり、コマ単位に分割したガラケーマンガはやはり廃れ、人々はスマホでページマンガを読むようになりました。

とはいえ、予言した通り、胸ポケに入らないようなスマホはほとんど現れておりません。

スマホでマンガを読む場合、拡縮したり、ちょっとストレスを感じながら読むのが 2020 年の主流です。

これについて、やはり時代に合わせたコマ割りで対応という動きもあります。縦スクロールマンガなどは、その代表例でしょう。

ページという縛りからある程度、脱却し、画像を縦に並べるやり方は、私が廃れたと断言したガラケー方式が進化して生き残った形と見ることができます。

今後、縦スクロールマンガが主流になっていくのかどうか、これはいまいちわかりません。 スマホ閲覧以外は考えず、広告収入だけでマネタイズするのならそれもアリかもしれませんが、はたしてどうでしょうか?

コンテンツプロバイダはそれでよくても描き手は「作品」を覚えて「買って」もらわないと、なかなか辛い。 いつでも交換可能な歯車を続けられる人間はなかなかいません。

ところがそもそも表現力や情報密度に制限がある縦スクロールですので、パッケージ販売しても、なかなか「わざわざ買ってまで読む」奇特な読者が現れません。ここに小売り方面でのマネタイズの難があります。

したがって、作家性で勝負できる作家は縦スクロールマンガをいつまでも描かない。層が厚くならないという問題が存在します。これは今のままでは簡単に解決できないでしょう。

かといって従来のページマンガをスマホでストレスなく読める日がくるのか。

これは、すでに申し上げた通り、人間の肉眼は簡単にアップデートできないので、スマホの解像度を上げても解決できません。

二画面スマホが市場で成功し、継ぎ目のない折り畳み二画面ディスプレイのスマホが当たり前になれば、スマホでストレスなく従来のマンガが読めるようになるかもしれませんね。

また、縦スクロールとも異なる形で、コマ単位分割方式が生き残ってる世界もあります。

それは YouTube 動画コミック。実用マンガなどを動画形式にして、広告収入を得ているようです。

ランサーズを見ると、このマンガの描き手を(私から見れば)ナメてんのかヴォケ、と罵りたくなるような低報酬で募集しています。

この動画コミックが、この先どうなるかはイマイチ読めません。個人的には広告収入頼りどころか YouTube 頼り(つまり Google 頼り)のマネタイズというのは怖すぎてできないな、というところです。

以上、2020 年からお送りしました。追記ここまで。

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このブログを書いた人間/サイト管理者

桝田道也(ますだみちや)
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