評価:筆者の購入目的には叶わず。筆者の購入価格(1,980円)なら価格なりの製品と思いました。5段階評価で言えば3。
『まるで手書き』で擬音フォント制作に挑戦してみた
手書きフォント自動生成ソフト『まるで手書き』。作ったフォントは配布できないという使用条件だったのでスルーしようと思っていました。
が、元原稿やベースフォントをあれこれいじれば、ペン字風以外のフォントも自動生成できるかもしれないと考えた。もし、そういうことができるなら、フォントの再配布が出来なくても、技術的に面白い。
また、フォントは再配布できなくても、自分の作品に作ったフォントを用いることまでは禁止されてないだろう。
うまくいけばマンガに使う擬音用のフォントが作れるかもしれないし、価格も安かった(¥1980)ので、購入して検証してみました。
生成元原稿を手書きゴシック風にしてみた
こんな感じの原稿を用意。これを200字用意するのはけっこう辛かった。
生成されたフォントがこれ。ベースフォントは〝セイビ細楷書体〟。手書き癖の反映度は5に設定。残念ながら、全然、期待と異なる結果に。
ベースフォントをゴシック系にしてみた
どうやら元原稿から抽出される〝癖〟は、文字位置や傾きなど、文字の骨格にあたる部分のようで、トメやハライなどのディテールはベースフォントが反映されるらしい。
そこでベースフォントをゴシック系にしてみることにしました。
まずは、癖抽出用の原稿を用意。普通に書写。
『まるで手書き』は、基本的にベースフォントとしてソフトに同梱されている〝ARペン楷書体〟〝NSK白洲ペン楷書体〟〝セイビ細楷書体〟しか指定できないので、いずれかの中身をベースフォントにしたいフォントと差し替えてみました。
いったん、〝セイビ細楷書体〟を別の場所に退避させ、TTEditを使って、
- TrueTypeフォントの新規作成
- ダイナフォントの極太ゴシックを一括コピー
- ファイル名・フォント情報をセイビ細楷書体と同じ内容に書き換える
- 出来たフォントをインストール
こうした後、『まるで手書き』でフォント生成を試みましたが、残念ながらエラーが発生してフォントは生成されず。
あきらめきれず、拙作の『小夏フォント』に同様の手順を踏んで差し替えてみたところ、なんとかフォントが生成されました。
同じttfでもベースフォントに使えるものと使えないものがあるみたいです。
ベースフォントは〝Konatu〟。手書き癖の反映度は2。一応、手書きゴシック風が出来たには出来たが‥‥。
バグあり
本来想定されてないフォントをベースフォントにしたせいか、ところどころにバグが発生しています。頻度は16文字に1文字くらい。
これを直接TTEditで修正すると、強制終了が発生して生成されたフォントファイルが開けなくなりました。
基本的にTTEditはTTEdit以外で作られたフォントをサポートしないので、修正するためには
- TTEditでTrueTypeフォントの新規作成
- 生成された手書きフォントをコピー元に指定して一括コピー
- コピーして出来たフォントを修正
という手順が必要なようです。
で、結局マンガの擬音を描くのに使えるのかというと
出来たフォントにTTEditのフィルターをかけてみたりしましたが‥‥う~ん‥‥この出来なら手で描いた方がいいかと。
マンガに必須な〝!!〟や〝!?〟が生成されないから、 それは自分で外字で作らねばならないという問題もありますね。
TTEditなどのフォントエディタを併用して時間をかけて修正すれば使用に耐え得る物が出来るとは思いますが、頑張っていいものを作っても配布できないんでは、個人的にはやる気がおきません(最初から配布を考えてない人にはどうでもいいことでしょうが)。
それでも自分用の擬音フォントを作るなら、物量的に大変な漢字部分だけ『まるで手書き』に生成させて、ひらがな・カタカナ・英数字は一字ずつ手作りするのが賢い使い方かと思いました。
手塚治虫風擬音フォントとか作れるかもと夢を見ましたが、甘かったようです。