『筒井康隆漫画全集』
これを論評するのは自分には荷が重過ぎる。 そもそもオレは筒井康隆の小説をほとんど読んでないし。 だから論評できない。ので、終了。
というわけにもいかないので感想を少々。
筒井氏の描いたこの一連のマンガはその特異性から色んなサブカル誌に再録や一部が掲載されることが多かったので、 半分以上は目にしたことがあった。 さすがに小説の方に興味がなくてもオレのホームグラウンドであるマンガに関する部分には目を通していた、 ということか。
なんで論評しにくいかというと、マンガとしての基本の部分がなっていないのに面白いからだ。
筒井氏が描いたのでなければ載ることすらかなわなかったであろうマンガ。
「あの筒井康隆が描いた」
という前提があればこそ面白く読めるのではないか?
これが無名の馬の骨が描いた作品であれば、オレはこれを面白がっただろうか?
という疑念がぬぐえないマンガ。
そういうわけで、作品単体についての論評がしにくい、しても意味がない単行本だなぁ、と。
このマンガ、筒井氏が一人で描いたのは冒頭2編のみで、 3本目以降は若かりし(学生時?)夏目房之介氏がコマ割りとラフ画を手伝ったのだという。
実際、3本目以降はマンガとしての体を為しており、 「ワイド仇討ち」「」傷ついたのは誰の心」「客」 あたりは作者が筒井氏である、というのを抜きにしても面白い作品になってるかと思う。
が、その異形マンガとしての破壊力・存在価値は冒頭2編の方が遥かに高いのではないかという気がした。