※注:以下の文章は2010年8月20日の日記から『ハウルの動く城』についての感想部分だけ抜き出したものです。したがって、内容は日記と重複しています。
DVDでハウル見た。期待してなかったせいか、意外に面白かった。 宮崎アニメとしてはつまんない方だけど、 なんつーか、面白すぎないのが心地良い、みたいな。
ビバリーヒルズコップ3とかね。かくだん面白くないんだけど、やってたらなんかずるずる見ちゃう系の。
音楽はポニョよりハウルの方が印象に残ったな。
物語の不備とか、くりかえし見てると気にならなくなったりするものなのかな。
私、はじめて『魔女の宅急便』を見たとき、あんまり物語が面白くなかったんですよね。
トンボが魅力的な少年ではなかったから、キキが惹かれていくのに納得いかなかったし、 素直で元気が取り得のキキが、なんで後半になって内気で言いたいことを言わずに飲み込むのか、釈然としなかった。
「がんばれがんばれって応援されてがんばってめでたしめでたしって、なんだよそのクライマックスは」
などと思った。素直じゃないね。
でも、再放送でなんどか見なおすと、そのへんの疑問はもうどうでもよくなっちゃって、 ただただ個々のシーンの演出の上手さに舌を巻くほどで、今ではかなり好きな作品だ。
たぶん、この先、千尋やポニョが再放送されてても積極的には見ないだろうなと思うのだけど、 ハウルはあと1~2回は見直したい気がする。なにか発見がありそうな気配を感じる。
ネットで厳しい評価をよく目にした倍賞千恵子のアフレコだけど、そんなにひどいとは思わなかったな。 むろん、専業声優でもっと上手く演じられる人がいるだろうとは思った。 が、後半、若いソフィーと老婆のソフィーの演技がこんがらがるのは説明無しにコロコロ若返らせたり老化させるシナリオが悪い。
引っ込み思案のソフィーと、恋するソフィーと、元気な老婆と、老婆らしい老婆を頻繁に切り替えながら演じなきゃならないことを考えれば、大変な演技をよくやったと思えるんだけどな。
むしろ、物語的に美味しいポジションなのに毒気の足りない美輪の方が問題なような。
6年前の映画について、なにを今ごろぐだぐだ書いてんだ>自分。
最後のところ。板に乗って滑り落ちていくシーン。かかしが必死につっかえてそれを止める。せまる崖。 ギリギリで止まる。ひと呼吸。止まったと思わせといて、やっぱり崖から落ちる。が、高さはそれほどなくて全員無事。
まぁ、教科書通りなんだけど、スピード感も溜めの時間も構図も実に小気味よくて、理想的な“わたしが宮崎作品に求めるもの”だった。ここだけでご飯三杯食べられる。
千尋で言えば、ボイラー室へ向かう非常階段のシーンね。そろそろと歩く。バキンッと音を立てて非常階段が外れかける。ゆっくり、ゆらりとはがれていく。千尋が絶叫しながら駆け下りる。スピードがつきすぎて扉にぶつかって止まる。 あのシーン。
ポニョには、残念ながらそれが無かったんだよな。
twitter.com/mitimasu から転載
Fri, Aug 20