『どっからみても波瀾万城 第七話・彦根城』について
コミック大河 vol.7 ( 2010-07-25 発売号)に掲載されました。
お城を題材にしたお城擬人化オムニバスうんちくマンガ第七話です。 題材は国宝、彦根城。
表紙。毎回、見下ろしで描いてて、いまごろ気づいたけど、 この角度から天守を見ることって普通はないから、 言わなきゃまず、どの城を描いたのかわからない。
私の画力の問題もあるか……
謎ペン
なんか突発的にタッチを変えたくなって、男性キャラを自作の謎ペンでペン入れしました。
これがその謎ペン。二つ折りにしたポリプロピレン板。割箸は筆圧をかけたときに軸が曲がらないようにするための芯。針金はインク溜まりのつもりだったんだけど、あまり役に立たなかった。
作例はこちら。まったく思い通りの線が引けない困ったちゃんペンでした。 イレギュラーの連続で描いてて楽しくはあったけど、出来がどうかというと、うーん。
おすすめしません。まったく、おすすめしません。満足したので、私自身、もうこのペンは使ってません。
男の娘
彦根城の擬人化は男の娘。その理由(こじつけ)は作品を読んでください。
日記なんかで何度もボヤいたけど、江戸城(チャキチャキの江戸っ娘)や五稜郭(洋風娘) なんかとちがって、城としては有名だけど擬人化しやすいキャラ特性がない城って多いわけで。
ただ、雰囲気だけで擬人化してもなー。 イラストならそれでもいいけど、ギャグマンガなのだ、これは。
面白くないギャグマンガなんか存在する価値がない。
他人の評価はよくわかりませんが、私は「これが面白いんだ!」と胸を張って主張できるものを描いていますw
ただ可愛く擬人化して流行りの性格付けをして、歴史の逸話を紹介するだけのマンガだったら、私より上手に萌え絵が描ける人にやらせた方がいいのであってね。
しかし、男の娘にしてみたけど、ジャンルとして男の娘モノに求められているもの、露骨に言えば読者のおちんちんがキュンッってなるような要素は何も入れなかったなあ。
……入れてたら確実にボツだったと思うけど。
オニ
井伊の赤鬼(直政、直弼)の額にツノは生やす。直政の語尾を「~オニ」にする。これが桝田道也クオリティです。
井伊直弼と川路聖謨
作中で、若狭藩が彦根藩の既得権益を脅かす琵琶湖用水路開削を申請し、 井伊直弼はそのお膳立てをしたのが川路聖謨であると決め付けたように描きました。 その時の恨みが安政の大獄につながっていったと。
確たる証拠はないようですが、彦根藩は裏で絵を描いたのは川路で間違いないと確実視してたらしい。
状況証拠でしかないけれども、川路が手引きした可能性は高いみたいですね。異様にすんなり実現してて、ちょうと、プロジェクトのハブ的位置に川路が存在してたらしい。
もし、琵琶湖用水路開削に川路が関わっていたとすると。
川路にとっては若狭藩に便宜を図って、見返りに幕府がちょっと小金を得るくらいの軽い気持ちでやったことであったが。
その一件が、世間知らずのチャカポンだった井伊直弼をマキャベリストとして目覚めさせ、 安政の大獄につながり、彦根藩の京都守護解任につながり、佐幕派離脱につながり、 倒幕へいたったとするならば。
始点が自分にあると川路聖謨が認識していたならば。江戸開城の直前に自殺した理由の一端かもしれない……などと、ぼんやり考えました。
井伊直弼、面白いです。ページが足りずだいぶはしょりましたけど。
描き上げたあとも、しばらくは井伊直弼について考えつづけました。 機会があれば描いてみたいですけどねえ。
トレス
自分で撮った写真のトレスです。あんまり上手く描けなかった。
↓『どっから見ても波瀾万城』の試し読みがあります(試し読み部分は第1話:姫路城の全部と第3話:五稜郭の一部です)
>お城擬人化娘マンガ『どっから見ても波瀾万城』 | ブログ桝席
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