行き当たりばったりで池上本門寺を見ることにした
2016-07-30 に訪れました。
運動不足予防のため、週末は晴れたらなるだけママチャリで1時間~2時間の所へサイクリングというかポタリングというかトレイルというか、呼び名はなんでもいいんですが、そういうものをやっています。
で、この日は行きたいところを決めかねたので、
「たまにはノープランで目的地をしぼらず適当に行ってみっか。そうだな。夏だし海が見たいかな。よし、適当に南へ進もう」
と出発しました。
しかし、地図を見ればわかりますが、私の住む板橋区からまっすぐ南へ行くと、神奈川県に入って川崎市を縦断しないと海に着きません。約 30km 。ママチャリにはちょっと荷が重い。
多摩川にぶつかったあたりで、なんか変だと思ってようやく自分の誤りに気づき、予定を変更して大田区の池上本門寺を見ることにしました。
玉堤からまっすぐ東に向かって池上に到着。池上本門寺入り口交差点のあたり。
これから池上本門寺の多宝塔を見に行くのだけど、東京都交通局馬込車両検修場の法面に多砲塔のようなボルトが。
さて、池上本門寺。日蓮宗の本山の一つで日蓮終焉の地であり、石段を加藤清正が寄進したことくらいは私も知っている(加藤清正について、仕事上の理由で調べたことがあるからだ)。逆に言えば、ほかのことは知らない。
池上本門寺 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E6%9C%AC%E9%96%80%E5%AF%BA
加藤清正ゆかりの寺ということで、いつか行きたい寺リストには入っていたのだけど、 板橋から大田区はママチャリで行くにはやや遠いと感じてた。
かといって、電車を使って行く日帰り観光地としては近すぎる感じ。
そんな、微妙な理由で今まで訪問してなかったけれども、いい機会だ、見ておきましょう。
写真じゃ伝わらないけど、もう、このあたりからそんじょそこらの寺たあ格がちがわぁ、てやんでぃ霊場でいっ…というオーラがビシビシ伝わってくる。
……というのは、ここが日蓮の終焉の地であって日蓮宗の大本山のひとつだから、という前知識が起こす錯覚なのだろう。それでもなんか、思い込みかもしれなくても、空気の違いというやつを感じた。
加藤清正が寄進したということは、有事の際の江戸城の出丸としての使用を想定されていた……?とも疑ってしまう。が、ちょっと考えすぎか。
ところで、私が登っているこっちの側は表参道ではない。言わば裏参道だ。
あきれるほどの極彩色。森の中に現れる唐突な中華風。
神田明神か日航東照宮に来てしまった錯覚感。あれ……ここ、お寺だよね……? よく知らんけど、日蓮宗ってこっちの芸風なん……?
自分の好みで言えば、装飾過多で好きではないのだけど、一種の独特な美しさがあることは認めざるをえない。
さて、やや毒気にあてられて頂上まで登ると、本殿やら大堂が現れた。これらは戦後の建物なので、それほど、ほほう、とは思うけれども感動はない。
裏参道から来たということに、まだ気づいてなかった。なので手水舎も賽銭箱も見当たらず焦った。
大堂の中は撮影禁止。天井に未完成の竜の絵が描かれている。日本画家で熱心な信者だった川端龍子《りゅうし》の遺作であり、描きかけのためどっちが上でどっちが下かも悩むほどなのだけど、その命を削るような筆致(実際に製作中に亡くなった)には、多宝塔や五重塔以上の感動を受けた。
正直、国の重文がひとつも残って無くても、この天井画を見るためだけに池上本門寺を訪れる価値があると思ったほど。
興味が湧いた人は「川端龍子 未完の龍」とかで検索してください。まさに絶筆と呼ぶにふさわしい作品です(……て、不勉強にして、この訪問で川端龍子という作家をはじめて知った私が絶賛しても説得力ないですけど)
ああよかった、地味目な建物もあった。やっぱこういうほうが落ち着きますわー。写真は白トビしててすまんす。
やっと大堂の正面側へ。ボン・ダンス・フェスティバルの準備だろうか。
ここから、とりあえず最大の目的というか楽しみにしてた、五重塔へ。
これも朱塗りではあるけど、多宝塔ほどギラギラはしてない。
真下で見上げると五重塔の五重っぽさがわかりにくくなるから、離れた場所でチラッと見るのも悪くない。
造形より、総アルミ製という材質ばかりが気になってしかたなかった。
加藤清正の寄進といわれる石段。これを見に来た(のに忘れてた)
寄進ということは、お金を出しただけという可能性もあるわけだ。 石翁の異名をもつ清正だから、配下の石工の一人や二人を派遣していてほしいとは思うが。
長年多数の参拝者によって、石が欠けてしまったところがパッチワークのように別の石で補修されているのが面白かった。
あんまり字が上手いように見えないんだけど、これが大巧若拙ってやつなのか。
そしてふたたび石段を上がり、戻る。なぜなら私のママチャリは反対側に停めてあるからだ。
墓地には加藤清正の供養塔やその室の供養塔があったらしいが、見なかった(そもそも探さなかった)。 前田利家 室の供養塔は見たが、写真は撮らなかった。基本、お墓は守備範囲じゃないからだ。
だが、例外もある。帰り際に、こんな看板がたくさんあるのに気がついた。
力道山かー。思い入れはないけど、面白そうだから、それは見ておこうか。……と、看板の指す方向へ進むこと少し。
失礼ながら、見た瞬間、ふふっってなった。
これから 25km くらい漕いで帰るのかと少しだけ憂鬱でしたが、力道山にほっこりしたおかげで晴れやかに帰宅できました。
ちなみに仁王像。あとで調べたらモデルはアントニオ猪木だとか。なんでそんなにプロレス好きなんだよ!