調整池・調節池があったら、とりあえず立ち止まるやつ
単独エントリを立てるほどでもない調整池・調節池の鑑賞ログです。ときたま更新します。
この記事内では新しく書かれたものほど、上になります。
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前世紀末の面影 目黒川船入場調整池(東京都目黒区)
公園であることはわかったが、どうも普通の公園ではないと感じた。雰囲気が変なのだ。レンガ造りの建物があるので、史跡公園かと思ったが、それにしちゃ説明板が無い。
ぶらぶらしてると、『目黒川船入場調節池』という文字が見えたので、とりあえず、かつてここに船入場があり、その跡地を利用した施設で、敷地の一部が公園化されているのだろうと判断した。そのころは、調節池が何か、あまりよくわかっていなかった。漠然と、洪水に備えた施設だろうとは想像がついたが。
>調整池 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%BF%E6%95%B4%E6%B1%A0
>遊水池 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8A%E6%B0%B4%E6%B1%A0
>ため池 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%81%E6%B1%A0
>ダム – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A0
要は、たいして違わないものを細かい差異でマニアが定義しているだけである(大暴言)
実際、このときは土木の方にはそれほど目はいかず、むしろ公園周辺の生き物たちが楽しかった。
目黒川と言えば、アユの遡上が確認され、誇らしげに清流復活の宣言をした川である。公園には清流復活を記念した碑さえあった。アオサギやカモやカメは、清流復活が真である証左だった。
とはいえ、都市河川らしいドブ臭さがないわけでもなく、個人的には清流と呼べるような水質ではないのだけど。2016 年に目黒川に沿ってぶらぶらしたときの私の感想は、
「アユって意外と汚い川でも生きていけるんだなー」
であった。イワナ・ヤマメより汚い環境に強いようである。
護岸の意匠が面白いとも言えるし、センスのない無駄な装飾とも言える。どっちの評価になるかは、その日の気分次第だ。
六角形を多用したコンクリ河川底。モダンにしたいんだかレトロにしたいんだか、まるで方針がない。
そして、2013 年の時は、他に用事があったので 10 分くらい鑑賞したのち、その場を去った。再訪したのは 2016 年の秋だった。
何か面白そうなスポットがないか、ネット地図を見てたら、『川の博物館』なるものが表示された。見れば、目黒川船入場調節池の隣だ。
「ああ、あそこか!前に行ったときは良い場所だと感じたけど、時間が無くて十分には楽しまなかったんだよなー、もういちど行ってみるか!」
なんて考えて、情報を収集してみたら、『川の博物館』は 2012 年に閉館していた。
2013 年に私が初めて訪れたときに、すでに閉館していたのだ。なので、惜しいとは思わなかった。が、まあいい。いずれにせよ、再訪してみよう。
着いた。かつて、川の博物館だった建物はそのまま調節池の管理施設かなにかに使われているようだ。
レンガの建物に、年季の入った古いレンガはなかった。明治・大正の建物を修復や移築したというような事実はなく、平成6年に調節池が完成したとき、管理棟を兼ねた博物館として、レンガ風建築を作ったのだろう。
>歴史を訪ねて 目黒の川 1 目黒川:目黒区公式ホームページ
https://www.city.meguro.tokyo.jp/smph/gyosei/shokai_rekishi/konnamachi/michi/rekishi/megurorekishi/kawa1.html
「船入場」と言うからには、ここに河岸があったのだろうと思っていた。が、”>通称「船入場(ふないりば)」に東京都が洪水調整池を地下に設け”ということなので、都市河川化によってコンクリ護岸されるまえ、小舟が上陸できるような浅瀬や砂地があったというだけなのかもしれない。
4年前の閉館のお知らせが 2016 年に読めるという。まじめ!
対岸。こっちを撮ってどうする。対岸から調節池を撮れや>自分。
なぜ写真の青い橋(田楽橋)から撮らなかったのか。調節池の醍醐味である、神殿的な柱の林立する流入口(とでも呼ぶのだろうか?取水口?いや、取水じゃないか…)が、ちゃんと写ってないではないか。
(追記 2022-12-29)撮ってたのを発見しました。パノラマ合成して保存したことを忘れてしまっていたらしい。
公園の、一段低い部分。地下貯水槽が満杯になっていよいよ増水したら、この部分にも活躍してもらうという想定なのだろうか。首の川一枚分という感じだが。
こうしてみると、建物はレンガ造りの明治・大正風味、公園は石積みの中世ヨーロッパ城郭風味、目黒川の護岸はモダンアート的な抽象造形で、ほんとバラバラであって、まるで統一感がない。そこが良い。
目黒川船入場調節池が完成したのは平成6年。昭和が終わってまだ6年。バブルの残り香ただよう 1994 年。
それから二十年以上たって、史跡のようでそうでもなく、公園のようでなんか放置された感じがあり、
「なんだろうねえ、ここ」
という得体のしれない魅力を備えてしまったのは、時間の生み出す奇跡というほかない。
完璧なデザイン・計画・運用ばかりが良いとは限らない。なんか、こういう前世紀の残照としか言いようがない隙だらけなスポットも、ほっこりしてよいものである