『想い侘びお初』について
コミック乱 2009 年十一月号( 2009-09-28 発売号)に掲載されました。
浅井長政とお市の方(信長の妹)の次女、お初とその姉妹の物語です。
いいタイトルが思い浮かばなかった。このタイトル、あんまり気に入ってません。
いっつもオッサンばっかり描いてきたので、女性キャラがたくさん描けて楽しかったです。
担当「あんまり萌え~な感じに描くべきじゃないと思うんですよね」
私 「わかりました」
担「しいて言えばエヴァくらいで」
私「???(エヴァって萌えじゃないの???)」
担当との認識のギャップを感じました。(注:デフォルメのレベルがエヴァ程度、という話であって、エヴァ風に描けという話じゃないし、私もとくにエヴァっぽくは描いてないです。念のため)
読み返して思いましたが、18 ページで三姉妹+母の人生を描くのは無理があったなぁ、というところ。最初のネームでは三姉妹を均等に描いていたのでこれよりもっとキツキツでした。
今回、戦国期の女性の立場とか血筋とか跡目とかの意味が裏テーマ(というほどのものでもないけど)であって、
ページがあれば江与と豊臣秀勝の娘・完子の子孫が後に皇室に嫁いだので、
現在の皇室は織田氏・浅井長政・豊臣氏(ただし秀吉の直接の子孫ではない)の血を受け継いでいるという話(豊臣完子 – Wikipedia
)も盛り込みたかったんですよ。ページがあれば。
自分の血を皇室に入れようと必死になった足利義満や徳川家康が失敗したのに対して、 血筋とか家格というものを考える上で興味深い現実ではないかと。
実際に雑誌が出て冷静になってみると、描かなくて良かったと思いましたが。
作者注
なんか、今回ルビの間違い・ルビ抜け(私のミス含む)・セリフ改変がけっこうあったんで、 ここに作者が本来、指定した表記を書いておきます。
細かい間違いはいままでもちょこちょこあったんですけど、今回はけっこう多かったので。
P.4(掲載誌 P.88)、ルビ間違い
誤:3コマ目「お江《こう》」、5コマ目「浅井 江《あざい こう》」
正:3コマ目「お江《ごう》」、5コマ目「浅井 江《あざい ごう》」
諸説あるみたいですが、私の読んだ資料では「ごう」としてあったので、私もそのように指定しました。
両方とも《こう》になってるので、担当氏のケアレスミスではなく校正者による修正かも。
P.5(掲載誌 P.89)、ルビ指定忘れ
誤)6コマ目「幸の薄い男」→ 正)「幸の薄い男《ひと》」
これは私のミス(指定忘れ)
P.6(掲載誌 P.90)、ルビ抜け
誤)3コマ目「やさしい男」→ 正)「やさしい男《ひと》」
編集サイドのミス
P.7(掲載誌 P.91)、ルビ指定忘れ
誤)5コマ目「できる男」→ 正)「できる男《ひと》」
私のミス(指定忘れ)
ちなみにルビが無い“男”の読みはすべて“おとこ”です。
P.9(掲載誌 P.93)、セリフ改変
誤)4コマ目「この城は家康が築いて」
正)4コマ目「この城は爺様が築いて」
意図的に改変されたのか、うっかりミスなのかわかりませんが。
秀忠が次男・忠長に聞かせるセリフなので、忠長から見ての家康ということで「爺様」なんですが、このセリフを言ってる秀忠にとって家康は父なので、たしかにまぎらわしい。 そういう意図で修正したのかもしれない。
でも、大殿様を呼び捨てはないわなー。
お市が長政を裏切った理由は、作者による創作です。
そもそも小袋の話は後世の巷説(創作)の可能性が高いということですし。
作中ではしれっと長政に
「~しか」
などと言わせてますが、まだ二人目で、それは言わんよな。常識的に考えて。
そういうツッコマれたらリアリズムが怪しくなる部分を気づかれにくくするのが作家の腕の見せ所です。たぶん。で、ここでバラしちゃ台無しぢゃないか>自分。
ちなみに長政が箔濃にされたとき(冒頭シーン)、お江は1歳くらいです(だからあのシーンに登場しない)
特に解説が必要なパロとかは無い、と思う。
P.12(掲載誌 P.96)5コマ目の背景は、PC-6001 とか MSX とかのウォーシムのフェイクなんだけど、単にコマを埋める模様が必要だっただけで、パロっていうほどのものではないかな。
ページ数にたいして話を詰め込みすぎたので、ちゃんと仕事しろい的に担当さんが上司や同僚からいろいろ言われたらしい(くわしく知らないが)。
担当さんは、話を整理するよう指示してましたし、初期ネームはもっと酷かった。
整理に整理して、これだったということ。担当氏はやるべき仕事をやっており、責められるべき点があるとしたら、それは私の責任だということは申し上げておきます。