ヨッパライの樹が見頃だというので
帰省して、新聞を見たら青島熱帯植物園の、ヨッパライの樹こと、パラボラチョの花が見頃だとか。
別名よりも『パラボラチョ』という言葉の語感が気に入った。なんだか見たくなる名前だ。
名前から抱いた興味は期待が過大すぎて裏切られることも多いものだが。 ミッキーマウスの樹とか、オオイヌノフグリとか。
ともかく、初詣で青島神宮に行くついでに見ることができるので行ってみた。 青島神宮は行列がすごくて参拝をあきらめて、野島神社にしたのは別記事に書いた通り。
で、これがパラボラチョの樹
宮崎県立青島亜熱帯植物園
http://www.mppf.or.jp/aoshima/
大きな地図を表示
所在地:宮崎市青島2丁目12-1
全体像はこんな感じ。 ……だから過大な期待はするなと(略
さて、この樹がなぜ「ヨッパライの樹」なのだろうか。
近寄ってよく見るとするどいトゲがたくさんはえてるから、遠巻きに見てる分には愉快だけど関わると面倒なことになるのがヨッパライっぽいからだろうか?いや、ちがう。答えはこの樹木の独特の幹のふくらみにある。
和名をトックリキワタというこの樹木、その名の通り、幹がトックリのようにふくらんでいる。
つまり、この形をして
「ビールを飲みすぎたから」
と南米の人々は見立てたわけだ。
つまり、ビール腹の樹であって、ヨッパライの樹というのはちょっとちがうんでないかい? と思わないでもない。
が、念のため機械翻訳で調べてみた。
パラ・ボラチョ→ Palo Borracho → Palo(樹)Borracho(大酒のみ)
つまり、大酒のみの樹、であって、ヨッパライの樹という訳はゆかいな意訳ではあるけれども、微妙に誤訳なのであった。大酒のみが必ずしも酔っぱらってるとは限らない。
かといって和名の『トックリキワタ』はそれはそれで、みたままそのままじゃねえか!って話ではあるけれども(この樹は春から夏にかけて実がはじけて種をつつんだ綿を飛ばす)
花が好きな人の悲しむ季節である冬に花が咲く貴重な植物なのだけれども、運悪く撮るのに適した位置や向きの花が無かった。
つぼみ。はいピンボケー(泣)
これが春から夏にかけて綿毛を飛ばすパラボラチョの実。アボカドみたいで食べたら美味そうな見た目だけど、別に食用にはならんらしい。しかし綿毛は利用されるようだ。
トックリキワタ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%83%AF%E3%82%BF
「パンヤ」とはこのトックリキワタの綿毛のことだそうだ。へー。
綿毛がはじけて飛ぶ様子を、雪のふらない宮崎に雪が降るような……と評すむきもあったけど、南九州の人間なんて白いものが降ってりゃ火山灰さえ雪に見立てる人種なので、話半分に受け取っておこう。
絆木
さて、初詣のついでに寄っただけなので熱帯植物園の本館を見ていく時間はなかったのだけど(パラボラチョ並木は館外にあるのでタダで見られる)、公園案内板を見たら「絆木 夫婦アコウ」と書いてある。
絆木は「きずなのき」と読むらしい。出発前、そんなのあったっけ?野島神社のアコウのことかな?などと両親と話をしてたんだけど、ここにあったんだ、みたいな。じゃあ見ていこう。
これがその『絆木(夫婦アコウ)』 ……やっぱり野島神社のアレとくらべちゃうわけで、そう思うとちっちゃい。国指定天然記念物とくらべちゃかわいそうだけど。
二本が寄り添う形から夫婦アコウと呼ばれるようになり、近年に愛称を募集して『絆木《きずなのき》』に決まったのだという。
……『夫婦《めおと》アコウ』が愛称じゃいかんかったんか?どっか別の県のアコウと被るんか?
小さい、などと失礼な評価を抱いてしまったけど、説明板によると
「樹齢百年を超える大木」
なのだそうだ。
……百年かー。
がんばれ!あと九百年、あきらめずにがんばれ!