三鷹市美術ギャラリー『怪獣と美術-成田亨の造形芸術とその後の怪獣美術-展』
> 本展は、成田亨をはじめとして、成田亨が描いた怪獣を造形化した高山良策(たかやまりょうさく・1917-82)、さらに成田の後を継いで『ウルトラセブン』の怪獣デザインを手掛け第二次怪獣ブームを支えた池谷仙克(いけやのりよし・1940-)、今日の怪獣造形の第一人者である原口智生(はらぐちともお・1960-)の作品を紹介
- http://mitaka.jpn.org/calender/gallery/076.php
- 2007年9月8日(土)~10月21日(日)
- 会員480円 一般600円 学生(高・大) 300円 *65歳以上、中学生以下及び障害者手帳等をお持ちの方は無料
見てきました。成田 亨氏の作品を生で見るのは、これが初めて。 雑誌で見たことがあったものでも、生で見ると感激度が全然違いますね。当たり前ですか。
ここ3年くらいで見た展覧会の中では、一番満足度が高かったです。 圧倒されました。
三鷹市美術ギャラリーって、それほど大きな展示スペースではなかったように記憶していたのですが、仕切りの配置が絶妙だったのか、かなりボリュームも感じました。 展示されてた作品総数は167点。
入場料 600 円は、最初ちょっと高いような気がしましたけど、むしろお得感のかなりある料金設定でした。観て損は無いと思います。
成田 亨氏と言えば、青森県立美術館。青森まで行かないと観られない作品が東京で観られるんだから~という気持ちで本展覧会に足を運びました。
が、図録によれば出品されてる成田 亨作品 115 点のうち、青森県立美術館所蔵のものは 31 点。 他は個人蔵のものばかりで、この機会を逃すと中々おがめないものも含まれてる……のかもしれません。
同時に、青森県立美術館所蔵の作品が全部来ているわけじゃないので、 いつの日か機会を作って青森県立美術館まで足を運ぼうと心に決めました。
シーボーズが来てなかったんですよ。残念。
コンセプト!コンセプト!コンセプト!
とにかくフォルムの独特さと美しさに圧倒されました。 美術展で呆然となったのは久しぶりです。
特に、怪獣よりも宇宙人のデザインが素晴らしい。 怪獣がどうしても生物の延長上なデザインのものが多いのに対して、 宇宙人はより自由に造形されたものが多く、明確なコンセプトに基づくフォルムの極め方がすごすぎなんです。
> 成田は宇宙人をデザインする手法として、あくまで全体的に抽象化することで宇宙感を出そうとしていたという。首、肩を意識させない姿を目指したのが、このザラブ星人である
図録より引用。首を意識させないデザイン方針はジャミラやキングジョーにも見られますね。
コンセプトに揺らぎがない。フォルムに無駄がない。そういう風に見えてしまいます。 実際には色々と試行錯誤の末のデザインなんでしょうが。
残されている決定稿だけを観てると、神がかった天才の才能と時代のうねりが噛みあって生まれた奇跡としか思えず、本気でめまいを感じました。
『宇輪レリーフ』 1988 成田 亨 (「怪獣と美術」図録より引用 )
「スプーだー♪」(違
この『宇輪』シリーズに顕著に現れているのが、成田 亨氏の抽象と具象の絶妙なバランス感覚ですよね。
考えてみればウルトラマンも、モダンアートのような抽象的な造形なのに、不思議と温かみ・人間味はあったんですよね。微笑してるとこと鼻筋の形くらいしか似てないのに、仏像がモチーフといわれると非常に納得がいく不思議デザイン。氏の、形の本質を見極める能力がすごかったんでしょうね。
ひたすら、圧倒されました。爪の垢が欲しいです。煎じて飲みたいです。
スケッチする子供
度の強いメガネをかけて坊ちゃん刈りな髪型の少年が、一心不乱にカネゴン決定稿を模写していました。 なんか、マンガみたいな光景で和みました。