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[波瀾万城シリーズ] 『どっからみても波瀾万城 第五話・安土城』について

この記事どう? ええよ~

『どっからみても波瀾万城 第五話・安土城』について

コミック大河 vol.5 ( 2010-05-25 発売号)に掲載されました。

お城を題材にしたお城擬人化オムニバスうんちくマンガ第五話です。 題材は近世城郭の出発点、安土城。

いっぱつぎゃーぐ!……な回でした。

haran_05-00.jpg

表紙。池上右平の「天守指図」を参考に、よくわからんところはごまかしごまかしで……。いいんだ、私ァ学者じゃないんだから、いいんだ。

「天守指図」は池上右平の創作とする説もありますけど、やはり発掘調査してみたら形が一致したってのは偶然じゃありえないと思って、「天守指図」は安土城の設計図であるという説に立ちました。

 

土台だけ

結局、今回は土台の話だけで終わりです。担当氏はそれが不満で、 せっかく擬人化がワンレンボディコンなら、バブル崩壊に見立てて安土城炎上まで描いて欲しかったみたいです。

でも、そこまで描くとページが足りなくて消化不良になってしまうので、 スカシで押し通すことにしました。

「土台の話だけかいっ」
と心の中でツッコミを入れて下さいませ>ALL

というか、地味で読んでもあんまり満足感が与えられないのがわかっていても、 早い段階で石垣についてキッチリ描いておきたかったというのもありまして。

ちゃんと天守や櫓が残ってる城って実はそんなになくて、 石垣が残ってるだけとか空掘が残ってるだけ、なんて城が大半なのです。

そういう石垣の魅力や土塁の魅力といった地味な部分を早い段階で伝えておけば、 あとあとそれが活きてくると思うんですよ。それで、今回は天守台の話だけに、あえて絞りました。

ただまぁ、それ以上に
論戦かまびすしい安土城天守復元案に関して、誰の説を採るか決めかねた…… ぶっちゃけ怖くて、もう少し勉強しないととてもじゃないと描けないと思った。
……ので、天守台だけで今回の話をまとめてしまいました。

加藤清正

後に穴太衆から「石翁」とまで呼ばれる石垣造りの名人、加藤清正がどこでどのようにして石垣普請の技術を学んだのかは、 あんまりわかってないみたいです。

単に私の調べ方が悪いだけかもしれませんが。

下級武士はこうした土木作業に従事するものなので、秀吉に付いて回って陣城やなんかを作っているうちに色々覚えたのでしょう。

秀吉の長浜城の普請ではこきつかわれたと思います。 マンガで描いたように安土城の普請に参加したり、 ましてや穴太衆に弟子入りしたってことは、おそらくないんじゃないかと(笑)

信長が安土に居城を移した理由

haran_05-01.jpg

ここはまぁ、私の思いつき妄想説なんですが。

一般的には、
・岐阜城では京から遠かった
・この当時の運輸にしろ派兵にしろ琵琶湖水運の比重が大きかったため、中山道に通じ琵琶湖水運も抑えられる安土に城を構えるのが何かと都合が良かった
……のが、信長が安土を選んだ理由とされています。

しかしながら、現代の我々の感覚的にはあまり認めたくないことですが、 この当時の城取り(場所選び)は、多分に宗教的な理由に寄るところも多かったのですね。

神仏を信じない……と言われた信長ですが、 スサノオ信仰と白山信仰があったことは信長公記やルイス・フロイスの『日本史』に記述があります。

ちょっと癖があるのですが、なかなか興味深い内容の本です。 この本によると、城取りの際に東西南北に霊峰や名刹を配すのはよく行なわれていたらしいのですよ。

それで、安土城はどうかとつらつら調べてみましたらば。

  • 当時の三大貿易港である堺・那古野・敦賀と明智・羽柴・滝川の居城がまるで安土を囲むようにトライフォース(笑)を作っている
  • 織田家と縁の深い熱田神宮と安土城と出雲大社が東西へ一直線に並んでいる
  • 北には織田氏の出目とされる織田劔神社がある
  • 鬼門の方角に、信長が信仰していた霊峰・白山がある

ことが判明。

これについて言及した論や書籍があるのかどうか知らないけれど、 俺論をぶちかます誘惑に勝てなかったのでした。

熊野神社、八坂神社、溝谷神社については、ぶっちゃけこじつけです。

単なる思い付きで裏付けの弱い俺説です。でも、手前味噌になるけど着眼点は悪くないと思うんだよなぁ。 誰かちゃんと調べてみませんか?

家康はなぜ江戸を選んだのかって本は何冊かありますけど、 信長はなぜ安土を選んだのかって本は、私は見たことがないです。さぁ、誰か!新書で!

明智光秀

メインのギャグが 14 ページに来る関係上、荒木村重だけではスカスカになってしまうので 謀叛つながりで光秀も出してみましたが……

明智の変なこじつけギャグのせいで、今回の裏テーマが’90 年代になんだかそうじゃないのか、ハッキリしなくなってしまったです。 うーん……失敗?

おしまい。


↓『どっから見ても波瀾万城』の試し読みがあります(試し読み部分は第1話:姫路城の全部と第3話:五稜郭の一部です)

 >お城擬人化娘マンガ『どっから見ても波瀾万城』 | ブログ桝席
 http://blog.masuseki.com/?p=8657



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