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マンガの背景に使えるアナログ・テクスチャを作る方法いろいろ

ローテクなアナログテクスチャをあれこれ作ってみた

マンガの仕上げをPCでやるようになると、
「オリジナルトーンが作り放題だ~ぜ~ヒャッホー」
とかわめいて本屋のフォトショップ関連書籍を読み漁ったりするわけじゃないですか。

私のことですが。

しかし、テクスチャのさじ加減がパラメータの数値ひとつってのも味気ない話ですよ。

今こそ!あえて!レタッチソフトに頼らない、失われつつある伝統の技の復活を!

と騒ぐほどのことでもないんですが、やっぱりPC依存度の高いテクスチャをマンガに使うと、まだまだ画面の中で浮いてしまうんですよね。慣れの問題なんでしょうけど。

その点、伝統技術は枯れてるから私みたいなオッサンの目には心地いいんですよ。

そんなわけで、ローテクでマンガ用のテクスチャというかオリジナルスクリーントーンを作ってみましょうか、と。そういう記事です。

この記事は最終的にはスキャンしてデジタルで使うことを前提とした記事です(^^;

バンプマッピング

バンプマッピング、とかかっこつけて言ってみましたがぶっちゃけこすり出しです。

美術用語で言えばフロッタージュという技法です。

描画面に凹凸があると、凸部にインクが付きやすく凹部にインクがつきにくくなるため、模様が浮かび上がるという原理です。

紙の下に十円玉を置いて、鉛筆でこすり出した経験は、誰しも一度はありますよね?

用意するもの。紙。
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クシャーッ!
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丸めた紙をひろげて、ややかすれ気味の油性ペンで、流線を引いて見ました。
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こんな感じになります。どうでしょうか?そこそこ使える‥‥というか、先日仕上げた原稿に実際に使ったんですけどね。
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紙をクシャクシャ丸めるのが面倒だ、というのであれば最初からデコボコした素材に描くという手もありますよ。

100円ショップでキャンパスボードが買えるんだから、良い時代だよな。デフレ万歳。
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流線に飽きたので、リングウニフラッシュを描いてみました。油性ペン使用。
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まぁ、こんな感じの描線になります。しかしサンプルとは言えあまりに仕事が雑すぎるなぁ。もうすこしキレイな対称になるように描かないと。
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メイルシュトロム

てきとうに墨汁をポタポタたらします。関係ないけどドルアーガやらザナドゥの黒スライムを思い出した。
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ボール紙(ボール紙じゃなくてもいい)を乗せて押しピンで止めます。
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『回転』……全ての希望は……『回転』の動きの中にある!(ジョニィ・ジョースター)
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うーん……。失敗。インクの量を減らして、ボール紙よりもっとザラザラした紙でやるべきだったのかも。これが何に使えるかって?さぁ?
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なんかアートっぽく見えなくもないじゃん(←アートを馬鹿にしすぎ)

ロールシャッハ

ロールシャッハは知ってますよね?インクを垂らして紙を折って開いたら、左右対称の妙なパターンができててアラ素敵ってやつ。

こういうインクや絵の具を転写して模様を作り出す手法をデカルコマニーと言います。で、別に二つ折りに限らず4ツ折りでも8ツ折りでもいいんですよ。と、言う事は……

やっぱここはひとつ、〝ミウラ折り〟で!
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大失敗。墨汁じゃなくて、ガッシュとかだと良かったのかな?
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墨汁が染みた裏面の方がパターンとしては面白い。どっちにしろ使い道は無いな……。
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ストリング

インクや墨汁にひたした紐を紙に乗せます。今回はタコ糸を使用。タコ糸はあると何かと便利ですよ。煮豚作ったりできるし。
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紙を二つに折って紐をはさんで、上から押さえつつ紐を引っ張ると……
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ちょっと墨汁が多すぎた。すみませんねぇ。私もはじめてやってみた技法なもんで‥‥
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え?使い道?そんなの、北魔天様を描く以外に何があるっていうんですか?

「北魔天」(鄭問『深く美しきアジア』 より引用)
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北魔天様がご活躍なさる3巻、持ってないんですよ。躊躇せず買っておけばよかったなぁ、当時。

北魔天様の衣服がストリングによって描かれていたはずと記憶しています。勘違いだったらごめんなさい。

鄭問先生はストリングやデカルコマニーを多用してましたね。

アンドゥのできない紙原稿でこの手の偶然性の高い技法を駆使していた鄭問先生は、

やはり神と言わざるを得ないと思いますが思うとくやしくてやりきれなくなるので思わないようにしています。

私は凡人なんで、使えそうな部分をトリミングして、やり直しの効くデジタルで使おうかと‥‥
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スタンピング

ひと昔前のマンガ技法指南書には、必ずといっていいほど載っていた技法なんですがねぇ。いちおう、触れておきます。

ガーゼでこういうのを作るわけですよ。で、墨汁を含ませてスタンプみたいにポンポンと押していくわけです。「みたい」じゃない!スタンプだ、これ!
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ぞんざいな仕事だなぁ。もうちっと丁寧にやれ>自分。
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ガーゼじゃなくてもいいんですけどね。ようはスタンプっぽく押してインクを付けられるものならなんでも。イモ判、自分の指、唇、顔。なんでも。

スクラッチ

インク塗布面を削って地の色を出して描く技法です。小学校の図工の時間に、黒のクレヨンを塗って紙を釘などでひっかいて絵を描いた人も多いのでは?

マンガで、スクリーントーンを削って雲とかを描くのも、この技法の一種と言えますね。

そのままクレヨンを使うのも芸がないので、こんなものでやってみました。

ホワイトボードペーパーとホワイトボード用マーカー。100円ショップにて購入。合わせて税込み210円。
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ぬりぬり。
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我輩は古ハブラシである。
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肘を動かさず手首《リスト》を回転させつつ ふるべし!ふるべし!ふるべし!
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こんなんできました。おぉ、これは使える!というかいずれ使う!
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マーブリング

これも図工の定番ネタですが‥‥。いちおう。

なんか適当な容器に水を張って、墨または油絵の具を浮かべます。
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安い墨は天然膠ではなく合成樹脂で練られているのでかきまぜなければしばらくは水に浮くと思いますが、高級な墨だと水にすぐ溶けてしまうかもしれません。

容器は100円ショップで適当なのが見つかると思います。

んで、紙を静かに乗せて、静かに引き上げて、静かに乾燥させれば出来上がりです。

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すると、思い通りの模様はあらわれず見る間に失敗作の山ができあがります(←ぉぃ)。

レタッチソフトはなるだけ使わない方針だったのですが、あまりに薄墨すぎたのでニ値化しました。しきい値220くらい。
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おしまい:あぶり出し

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ニ値化したら、あぶり出し関係なくなってしまった。
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なんつーか、こう‥‥思い通りにいかないところやアンドゥのできない予想外の結末が、リアルワールドで作成したテクスチャの魅力でありPCで作ったテクスチャに対するアドバンテージっしょ‥‥という結びでどうかと思って、これを最後にしてみました。

分子と重力のつむぎ出す魅惑のカオス‥‥とかなんとか言ってみたりして。

まぁ、そうは言いつつ結局はこれらのテクスチャをPCで貼り込んでいくのが今の私なんですが。

それはそうと

スキャナ持ってねーよ、あるいはPCは持ってるけど紙原稿にこだわってるんだよ!という人は、アイシーのコピーフィルムを用紙持ち込み可なコピー屋に持ち込んで、オリジナルトーンを作ってみてはどうですかね。

追記 2020-10-01:↑というアドバイスを書いているあたりが、さすがに2006年に書いた記事ですね。2020年のいまや、アナログトーンは生産中止が相次ぎ、風前の灯火となりました。

アイシー コピーフィルム
http://www.icinc.co.jp/COMICS/catalog/others.htm
>コピーして使える接着剤付きの半透明フィルムです。スクリーンの拡大・縮小やインデックスの作成に。あなただけのオリジナルパターンも手軽に作れます。

追記 2020-10-01:そのアイシー コピーフィルムも、いまや売ってないみたいですね。使えるかどうか私はためしてないのでわかりませんが、「転写 フィルム」などのキーワードで検索すると、使えそうなブツが見つかるかもしれません

ダウンロード

サイズがデカすぎるんで、〝クシャ紙流線〟,〝歯ブラシスクラッチ〟,〝マーブリング〟の3点だけ公開します。

いずれも4800px×6400px(注:ピクセル数を見てもわかる通り、かなり大きい画像です)・TIFFファイル。600dpi・A4くらいかな。

ファイルネーム備考
file_iconkusyaryusen.zipクシャ流線
file_iconscratch_curve.zip歯ブラシスクラッチ
file_iconmarbling.zipマーブリング

これらのテクスチャはクリエイティブコモンズ帰属-同一条件許諾 2.1 Japan Licenseで利用できます。

なおテクスチャ素材という性質上、二次的著作物の作成に関しては原著作者のクレジットの表示は必要無いものとします。

素材そのものを複製、頒布、展示、実演する場合は原著作者のクレジットを表示してください。原著作者は桝田道也です。


このテクスチャはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。


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