あんた、土木は好きかい?
そうかい、土木が好きかい。橋脚は大好物?なら、いい公園あるよ。あんたにゃおあつらえだ……。
その名を『びくに公園』および『大泉橋戸公園』という。そして別の言い方をすれば比丘尼橋上流調整池と比丘尼橋下流調整池である。
場所は、練馬区の大泉ジャンクションの近く。
調整池という名が示すとおり、このふたつは白子川の氾濫に備えた一時的な溜め池だ。
増水時には大泉橋戸公園はその地下に放水されるが、びくに公園の方は水びたしになるタイプ。東久留米市の白山公園と同じやつだろう。
→水びたしの公園がすごい – デイリーポータルZ:@nifty
http://portal.nifty.com/kiji/151008194756_1.htm
半年ほど前の夜に近くをとおりがかって、
「こりゃすげえな。そのうち昼間に撮りに行かなきゃ」
と思っていたのだ。
たまたま仕事で必要な資料が置いてあるいちばん近い図書館が大泉図書館だったので、えっちらおっちらママチャリで片道 10km を漕いで、ついでに写真を撮ってきた。
あいにくの小雨日和で、途中から防水デジカメやスマホで撮ったため画質はやや残念になってしまったが。
まず、上流調整池(びくに公園)を見に行った。
白子川。この川の増水から首都圏住人の安全を守るための調整池だ。
大泉と言ったら東映大泉撮影所。……ということなのか、白子川沿いの遊歩道にパネルが飾られていた。
左から、白蛇伝。仮面ライダー。ゴレンジャー。北京原人。
オチをつけなくていい。4コマにしなくていい(『北京原人』をオチだと断定するてめえが一番失礼なんだよ!という心の声アリ)。
比丘尼橋上流調整池(びくに公園)のだいたい遠望。テニスコートと、あとはだたっぴろいただの広場があって、お仕着せがましくなくて素晴らしい。
公園の向こうでは外環自動車道の拡張工事や、白子川地下調整池(後述)工事のための、ダンプが通れるごつい仮橋が鉄骨で組まれていた。
いずれ消えるのだと思うと、惜しい。ぜったい今、見ておかねば!というほどのものではないけれども。
外環自動車道の拡張が完成したあかつきには、かわりに見ごたえのあるコンクリ橋脚のハイウェイが望めることだろう。
車椅子の人のためというよりは、スポーツをやるときに必要な道具を運ぶ台車のためのスロープだろう。
白子川の堤防の上からクォータービューするのも良かったが、グラウンドに降りて見るのもいい。
次に、下流調整池(大泉橋戸公園)を見に行った。
私が通りがかって、すげえ!と感激したのはこちら。
治水的に意味があるのかもしれないが、水路がジグザグになってるのもかっこよかった。
ちなみに、比丘尼橋下流調整池は地下のプールに放水される。地上は公園になっているが、白子川が決壊しない限り水浸しになることはない。
5歳の私ならテンション上がってションベンもらすレベルの遊具。
そんなこんなで、土木好き・建設現場好きなら、いま見ておくのが良い公園だとオススメしておきます。この写真は上流調整池(びくに公園)にて。
白子川地下調整池
ここ比丘尼では、外環自動車道の拡張だけにしては、やけにおおがかりな工事をやっていた。それは何か。
そう、春日部の首都圏外郭放水路や、都心のド真ん中で作っている古川調節池と同じようなやつを、ここ練馬の白子川と石神井川のあいだで作っているわけだ。
→首都圏外郭放水路
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/
→都心の地下に巨大な水溜めトンネル – デイリーポータルZ:@nifty
http://portal.nifty.com/kiji/120712156405_1.htm
規模的に首都圏外郭放水路にはかなわないが、古川調節池も白子川地下調整池も完成すれば我々の目を楽しませてくれる神殿になることだろう。
残念ながら、本エントリは許可を得て内部を撮影させてもらったなんていう記事ではないので、その様子の写真は無い。
二つも調整池があって、さらに地下にプール 700 杯分の調整池が必要なものだろうか。
いじのわるい見方をすれば、環境意識が高まってムダなダムを作りにくくなったので、自然への環境負荷の少ない都市型地下ダムを作る方向に転換したのだろう、と見ることができる。
公共事業で税金を消耗することで経済を回す従来型の政治から一歩も進んでないことに溜息が出るが、環境負荷が低い分だけマシなのだろう。
「あんた、土木は好きかい?」
「見るのはね」
石神井の立坑も見たい
せっかくだから、石神井川の方の立坑の工事現場も見たいと思って行ってみた。
目白通りと環8が交差するあたりらしい。
そして気付いた。先月、ここを通った時に撮ってるわ!と。
普通のマンションとかじゃない、よくわからんがなんかすげえの作ってるな…と思って撮っていたのだった。
神殿としての白子川地下調整池が我々に姿を見せるのは先のことだろう。それに、首都圏外郭放水路と同様の神々しい姿になるのかどうかも、まだわからない。だいたい見学可能かどうかすら……
しかし、比丘尼下流調整池(大泉橋戸公園)は神殿の萌芽といってもいい迫力があり、今回はこれで大満足できたのだった。