ナイス土木で戊辰戦争の要所。十六橋水門を見逃す手はない
訪問日は 2018-08-20。
2018 年、夏。戊辰戦争に関連する城と史跡をめぐるというテーマで旅行をし、戸ノ口原古戦場跡を見た私が次に向かったのは十六橋水門でした。
>十六橋 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E5%85%AD%E6%A9%8B
まず、戸ノ口原古戦場跡から近く、戊辰戦争における十六橋の戦いの地であります。
おまけに現在は十六橋水門なる近代化産業遺産にも選ばれてる素晴らしそうな土木遺産もあります。 事前に画像検索したら、これがまあ、最高なこと。
画像で見て最高なら、生で見たらモア最高じゃないですか(ことばのほうそくがみだれる!)
見逃す手はない。見たくて見たくてしょうがない。その結果、会津レクリエーション公園の新政府軍本陣跡を見るというタスクをすっぱり忘れてしましましたが、そんなことはささいな問題にすぎません。
近いから見逃す手はない!と言ったものの、とはいえ 1.3km 徒歩の旅。
すでに 3km 歩いていたし、この日は歩いて歩いて歩くことを覚悟してましたから。1.3km などささいな距離にすぎません。
会津レクリエーション公園の脇の道を通って十六橋に向かいます。これは月見が池。
一部とはいえ会津レクリエーション公園を見たわけですから、広い意味で新政府軍本陣跡を見たことにしてもいいだろうと思ってます。本陣があったのは現在の多目的広場のあたりですが、なに、ほんの 200m ほどの誤差ですよ。ささいな問題にすぎません。
斜面を大伐採。二本残された樹の周囲に墓石があったから、もともと小さな墓地があって、それを拡張して大きな霊園にしようってことかしら。
とすると、フォトジェニックに残された二本の樹木は、伐採者の美的センスによって選ばれたわけですね。野生のアート。すっばらしい!
オシャレな洋館は安積疎水戸ノ口水門事務所。歴史のある(明治~戦前期の)建物なのかどうかはわかりませんでした。
景色も水門も美しくて最高の十六橋
現在は歩行者用橋しかありませんが、当時は猪苗代湖北岸から会津に至る道の重要な橋だったわけです。
なにしろ橋の名前が、弘法大師が塚を十六個作って橋をかけたという伝承に由来するわけですから、畏れ多い。
猪苗代城を落とされた会津軍は、この橋を破壊して新政府軍の進撃を食い止めようとしたのですが、新政府軍の進撃は早く、会津軍は橋を完全に破壊できないまま撤退を余儀なくされました。
新政府軍は簡単に橋を修復したそうです。このとき石積みの橋脚は16どころか23もあったそうですから、橋の掛けなおしはそう難しくなかったことでしょう。
そして明治になって、安積疎水事業が始まり、オランダ人土木技師ファン・ドールンの指導で、ここに水門が築かれることになったのでした。
>安積疏水 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E7%A9%8D%E7%96%8F%E6%B0%B4
>コルネリス・ファン・ドールン – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%B3
そんな明治に作られた十六橋水門ですが、2度改修され、現在は昭和3年のもの。
いやあ、いいですねえ。すごくいい。
もっといい出来の写真は PIXTA に登録しました。もし必要になったら思い出してください。
>【近代化産業遺産】十六橋水門(福島県安積疎水) 戊辰の戦いの要所【猪苗代湖】の写真素材 [49643960] – PIXTA
https://pixta.jp/photo/49643960
>【近代化産業遺産】十六橋水門(福島県安積疎水) 戊辰の戦いの要所【猪苗代湖】の写真素材 [49643957] – PIXTA
https://pixta.jp/photo/49643957
観光地だから当然とはいえ、歩行者用・観賞用の橋があるのが素晴らしいです。
なにより、十六橋水門が、きちんと16個の水門だという点が、本当に、本当に、すばらしすぎます。えらい!明治人えらい!わかってるゥ!
十六橋の戦いのとき、橋は23径だったそうです。
だから、あらためて水門を作ることになったとき、べつに径間を16にする必要はないわけですよ。 名前の由来は弘法大師伝説でしかないのですから、こだわらず最適な水門の数でよかった。
でも、橋の名前に合わせて、16径の水門を作ったのです。明治人は。うーん、律儀!
このコダワリというか、そこを外しちゃいけねえよ的な美意識が、たまらなくすばらしい。
来る途中で見かけたフォトジェニックに残された二本の樹木のように、技術者の純粋な美意識の発露。 なにかを狙ってやるようなせせこましい表現ではなく、自然な、やって当然のこととして現れた設計の美に、 私は感激せずにいられないのです。
草木に覆われてラピュタ的になった石積みも。さすがに昭和3年。
建物は雨量観測所だと確認するくせに、石碑はスルーですか自分。ほんとうはあんまり歴史に興味がないのかもしれない。
ふたたび安積疎水戸ノ口水門事務所。もしかしたら新しい建物かもしれないけど、ともあれカワイイ。
十六橋水門管理所の方も悪くはないけど安積疎水戸ノ口水門事務所とくらべちゃうと見劣りが否めません。
いやでも本当、少しでも土木遺産属性があるなら、鉄板だと思うので猪苗代に行ったときはぜひに。超オススメです。